奄振6・8%増219億7800万円

交付金20%増 沖縄路線の運賃割引対象者を拡大
25年度予算概算要求

 【東京】国土交通省は27日、2025年度奄美群島振興開発事業関係予算の概算要求を発表した。公共、非公共を合わせた概算要求総額は、24年度当初予算比約6・8%増の219億7800万円。公共事業は、同5%増の191億3400万円、非公共事業は奄美群島振興交付金が20%増の28億3800万円となり、奄美群島振興開発調査費と合わせて28億4400万円を計上した。

 同省の25年度概算要求で公共事業のうちで、大きく増えた区分は道路整備で22%増(対前年度比)の4億9700万円。橋梁(きょうりょう)やトンネルの整備及び、5年ごとの定期点検に必要な額として要求している。港湾空港は17億6100万円(同5%増)。港湾が微増(同3%増)なのに加え、奄美、徳之島空港の点検等に新たに与論空港が追加され9900万円(同29%増)となったため。

 道路環境の1億5400万円(同10%増)は、通学路の整備や知名町、和泊町の無電柱化が継続される。廃棄物処理施設の2億5900万円(同20%増)は、徳之島愛ランドクリーンセンターの基幹改良工事などを見込んでいる。農林水産基盤整備は76億8300万円で4%増。引き続き、沖永良部島、喜界島の地下ダムや関連排水路整備などが行われる。森林整備、水産基盤整備は前年同額だが、奄美全体の農山漁村地域整備(交付金)が18%増の16億1000万円が全体を押し上げた。

 一方、非公共事業の奄美群島振興交付金は、同20%増の28億3800万円。奄美群島振興開発調査費600万円を合わせて28億4400万円となった。従来通り、物資の輸送費支援、農林水産業の振興などを支援する。

 物資の輸送支援では、昨年盛り込まれた成牛を、と殺場へ運ぶ経費などは継続。また、昨年、県内路線に限られていた住民に対する軽減に、沖縄路線が追加された項目の対象者を拡大。奄美群島外の学校に在学し、群島民に扶養されている人、介護帰省者の「準住民」にも50%割引を適用する。成長戦略の実現に向けた支援には、関係人口の拡大及び移住の促進、教育及び文化の振興などに加え「奄美群島での操業等に対する支援」が拡充された。28年度末までに単年度収支黒字化を目標にしている、奄美群島振興開発基金への積極的な働き掛けが見込まれている。