北部直撃、被害多岐に

喜界町湾港内には大波が押し寄せ、強風で木々が激しく揺れた(28日午前11時頃、喜界町の湾港駐車場から撮影)

喜界町99%、広範囲で停電 29日も大雨に厳重警戒
台風10号

 非常に強い台風10号は28日、奄美地方北部を暴風域に巻き込みながら通過した。喜界町では最大風速30㍍を超える猛烈な風が吹き、奄美市では1人が重傷を負った。喜界島と奄美大島で最大1万1400戸を超えるなど広範囲で停電した。海、空、陸の交通機関では欠航・運休の影響で観光客が足止めを食らうなど、被害は多岐に及んだ。

 台風10号は各地に爪痕を残した。特に喜界町では、朝にかけて99・8%が停電となり、一部住家では屋根が剥がれたり外壁が崩れたりといった被害が報告された。町民らによると、港では係留していた漁船が転覆。農作物ではサトウキビ倒伏もみられるなど被害が広がっている。

 自治体などによると同日午後3時現在、人的被害は1件。奄美市でバイクに乗った男性が転倒し重傷を負った。住宅被害は一部で報告はあるものの、具体的な調査は台風が落ち着く29日以降になる。

 県防災ウェブによると、午前9時時点の避難者数は▽奄美市54世帯77人▽大和村24人▽宇検村15世帯19人▽瀬戸内町63世帯66人▽龍郷町9世帯12人▽喜界町24世帯31人―だった。

 災害に伴う道路通行規制は、奄美市3件、喜界町1件で、ともに倒木による封鎖。午後5時現在、奄美市の名瀬運動公園付近の市道で片側通行、市道赤木名・土盛線で全面通行止めが続いている。

 暴風の影響で停電も多発した。九州電力によると午後4時現在、▽奄美市2780戸(10・3%)▽大和村870戸(73・1%)▽龍郷町1020戸(25・6%)▽喜界町3830戸(78・9%)―で停電。復旧は進むものの、影響は長引く恐れがある。

 非常に強い台風10号は28日午後3時現在、屋久島の南西約50㌔にあり、奄美地方北部は暴風域を抜けた。ただ、台風の影響で大気の状態は非常に不安定で、29日にかけては大雨となるとみられ、土砂災害や低い土地の浸水、河川の増水や氾濫に厳重警戒するよう呼び掛けている。

 名瀬測候所によると、喜界町で最大風速33・0㍍、最大瞬間風速44・2㍍の風が吹いた。奄美市笠利では降り始めから28日午後4時までの降水量は168・5㍉に達した。