「夏季集中サイエンスキャンプ」に参加したメンバーとスタッフら
参加者を前に研究成果を発表する古仁屋高校の川崎さん
発表会を無事に終えた与論高校の参加者ら
【東京】千葉・柏市の東京大学柏キャンパスでこのほど、与論高校生、古仁屋高校生が岩手・大槌高校生と共に「夏季集中サイエンスキャンプ」を行った。生徒らは試料の分析、研究結果の考察会を経て、成果発表会へ臨み充実の夏を過ごしていた。
同キャンプは、柏市の東京大学大気海洋研究所、与論町海洋教育推進協議会と3校による合同企画。同研究所を舞台に所内見学ツアー、講義、試料分析、研究発表の考察会など7月29~31日に行われたもの。与論高校からは5人、古仁屋高校からは1人が参加した。31日の成果発表会で与論高校と大槌高校は、井戸チームと土壌チーム、地下水グループに分かれ、大槌町や与論町で採取した水の分析を通じて、最先端科学の現場を体験。自らの生活環境を理解するとともに、3日間の活動の中で生徒同士、大学院や教員との交流もした。古仁屋高校は、同研究所に関連した旧製糖工場のレンガの胎土(たいど)分析を行い、明治初期の製糖工場建築の技術等について研究した。ほか、グリーンベルトチームとして与論高校生が発表した。
井戸チーム与論高校の川口慈(いつく)さん(2年)は、与論島に点在する「鳩の湖」について報告。水位を調査し、水にまつわる伝承などを伝え「鳩の水の起源は雨水である可能性が高い」と結論付けた。ほか、各チームも研究の成果を堂々と発表。オンライン配信先や、同研究所の横山祐典(ゆうすけ)教授からの指摘や質問に応じていた。
古仁屋高校の川崎良徳さん(2年)は、久慈白糖工場跡出土の普通レンガの胎土分析を説明し、くぼみの形態や特徴を紹介。蛍光X線分析法での研究方法から、原産地などを考察した。「今後も島内での他の製糖工場におけるレンガの組成との比較を行う」と課題を挙げていた。川崎さんは「スライドの作成などに苦労したが、研究して論理を組み立てることを学んだ」と手応えを話していた。
引率にあたった与論高校の教諭・黒木健吾さん、古仁屋高校の教諭・立神倫史(みちふみ)さんは「貴重なこの経験を、次のステップに生かしてほしいですね」と言葉を合わせていた。