サンゴの危機学ぶ

海中からサンゴを取り上げ説明する北之坊誠也特任研究員(左)(31日、宇検村タエン浜)

 

 

やけうちっ子環境学習講座
宇検村タエン浜 全員が海に入る

 

 

 2024年度宇検村「やけうちっ子環境学習 世界自然遺産博士講座」(同村教育委員会主催)の第2回「海の生き物観察会~サンゴの海の生き物たち~」が31日、同村平田のタエン浜海水浴場であった。村内の小中学生15人と保護者10人が参加。全員が海に入り、8月中旬頃から確認されているというサンゴの白化や、サンゴをよりどころとする生き物たちについて学んだ。

 講師は、ミドリイシ属サンゴの遺伝的多様性について、沖縄・琉球大学などで約10年にわたり研究している鹿児島大学国際島嶼研究センターの北之坊誠也特任研究員(38)と、2021年から同村の里海づくり事業に携わってきた日本自然保護協会(NACS‐J)の中野恵さん(49)。

 北之坊さんはサンゴについて、「刺胞動物に分類されクラゲやイソギンチャクと同じ仲間」「ほとんどが植物プランクトンの一種である褐虫藻(かっちゅうそう)と共生する有藻性サンゴ」などと説明し、「〝相利共生〟関係にあるため、白化状態が長く続くと完全に死滅する」と解説した。

 中野さんが砂地に潜むオニダルマオコゼなど毒のある魚への注意を促し、参加者は砂浜から沖合30~40㍍の海へ入っていった。サンゴの白化状態を色の濃淡で測る「カラーカード」も手渡された。

 台風通過後の海は、濁りは見られたものの観察には支障なく、堤防付近の水深2㍍地点には枝サンゴやミドリイシ属サンゴが群生していた。子どもたちは、白化が進みつつある状態を初めて目の当たりにし驚きを口にした。

 青いサンゴもみられた。北之坊さんによると、サンゴ本来の色が見えている状態で、蛍光色を発することで褐虫藻を呼んでいるとする説が有力だという。

 子どもたちは「クマノミがいた」などとはしゃぎながら魚やサンゴのかけらを採集し、前後半30分ずつの海中観察を楽しんだ。

 名柄小5年の廣瀬羽奏(わかな)さん(11)は「白いサンゴが多かった。キイロサンゴハゼやデバスズメダイがいたが、サンゴがいなくなると魚もいなくなる」と不安そうな表情を見せた。

 自宅で海水魚を飼育しているという兄の名柄中1年・郁羽さん(13)は「去年は(白化は)見られなかった。今年は、夏休みの間に進んでいる。台風が少ないので復活するか心配」と話した。

 北之坊さんは「子どもの頃から海に潜り、サンゴとそこにすむ生き物の多様性を見てほしい。自然との関係を考える機会になれば」と語った。