奄美大島のマングース根絶宣言

2005年3月に、湯湾岳で自動撮影されたとされるフイリマングース(環境省提供)

大規模根絶、世界でも前例なし
93年から駆除 3万2600匹捕獲 環境省

 環境省は3日、奄美大島で駆除を行ってきた特定外来生物のフイリマングースについて、根絶されたと宣言した。奄美大島での駆除は1993年から始まり、2000年から本格化。18年4月を最後に島内で捕獲されていないことから、有識者による防除事業検討会が同日、「根絶した可能性が非常に高い」と評価した。長期間定着したマングースの大規模な根絶は、世界でも前例がないという。

 マングースは毒蛇のハブを退治すると期待され、1910年にインドから沖縄に持ち込まれたとされるが、同省によると、奄美大島には79年に約30匹が島内に持ち込まれた。旧名瀬市朝仁の赤崎周辺に放獣されたことが関係者への聞き取りによって確認されているという。しかし、日中に活動するマングースは夜行性のハブをほとんど捕食できなかった。マングースは国の特別天然記念物のアマミノクロウサギなど在来種を襲ったほか、農畜産物を荒らしたため、一転、害獣とされた。

 同省などは、島内に約3万個のわなや、監視用のセンサーカメラを設置し、地元住民らが捕獲専門チーム「奄美マングースバスターズ」を結成するなどして、駆除を行ってきた。これまでの捕獲数は3万2600匹に上った。

 奄美大島のマングース防除は、捕獲数がゼロになった後も、23年度までそれ以前と同様の捕獲・探索努力を継続。捕獲数がゼロになったとしても根絶の判断ができないことから、エリアベースの根絶確率算出HBMと個体ベースの根絶確率算出REAという二つの算出モデルが考案された。23年度末までの防除作業の確定データを踏まえた評価結果から、HBMで99・7%、REAで98・9%の根絶確率が示された。

 この根絶確率の推定結果を基に、「科学的見地から特定外来生物フイリマングースが根絶に達したと評価することが妥当」との有識者評価を踏まえ、同省は関係行政機関とも協議の上、根絶を宣言したもの。同省は「マングースが持ち込まれなければ、被害も捕獲も、そして、長きにわたる多くの関係者の苦労もなかった」として、第二のマングースを生まないために、「われわれ人間には外来種被害予防三原則『入れない・捨てない・拡げない』を順守していく責任がある」と強調している。