2023酒造年度の需給状況を発表した県酒造組合の濵田雄一郎会長
生産量増も出荷量減少傾向
若年層の掘り起こしが急務
【鹿児島】県酒造組合(濵田雄一郎会長)は5日、2023年酒造年度(23年7月1日~24年6月30日)の需給状況を発表した。年間生産量(25度換算)を示す製成数量は県全体で11万9377㌔㍑。前年比108・9%の増だったが、出荷量(25度換算)を示す課税移出量数は8万6321㌔㍑で前年比96・1%と減少。奄美群島の特産品である黒糖焼酎は製成数量6297㌔㍑で前年比109・3%の増だったが、課税移出量数(実数)は6668㌔㍑で前年比97・7%とこちらも減少を示している。
県酒造組合によると、芋焼酎の原料であるサツマイモが前年度より確保できたことを生産量増の要因に挙げている。近年サツマイモは基腐(もとぐされ)病の影響を受けて減産が続いていたが、生産農家と国や県などが連携して取り組んだ対策の成果や、基腐病に強い品種「みちしずく」を製造に使用することなどが功を奏した。
一方で新型コロナ前の18酒造年度と比べると89・5%と計画通りの量を確保できない状況は依然続いている。
出荷量の減少については少子高齢化、ライフスタイルの変化、消費者嗜好(しこう)の多様化などを要因に挙げている。
濵田会長は「特に若い世代の焼酎離れが進んでいる」と危機感を示す。「これまで若年層への掘り起こしを怠ってきた。若い世代に好まれるような香りの良いもの、炭酸割りで飲めるものや、高付加価値の新商品を開発していくことが、これからは必要になってくる」と焼酎業界浮上のための展望を語っていた。