学校給食費 奄美は5町村が無償化

宇検村最も早く 財源、過疎対策事業債活用
来年度から瀬戸内町も

 瀬戸内町が来年度から学校給食費の無償化に取り組む方針を示したが、奄美群島の自治体(12市町村)では現在、5町村が無償化している。いずれも子育て支援策として推進され、最も早いのは宇検村で2016年度から実施中。独自の施策だが、予算の確保へ過疎対策事業債活用などが図られている。

 5町村は宇検村のほか、大和村、喜界町、天城町、伊仙町。宇検村教育委員会によると、過疎対策事業債がソフト事業も対象になったことから、財源で活用できるとして踏み切ったという。24年度一般会計予算では638万8千円(小学校441万円、中学校197万8千円)を計上している。

 総務省によると、過疎対策事業債(地方債)の元利償還金の70%は、普通交付税の基準財政需要額に算入される。

 大和村は17年度から実施している。ただし全額還付給付方式によって。同村の給食費は小学生の場合1回160円、月20日間で3200円。こうした給食費を各世帯から毎月徴収するものの、年度末に給食費相当額を現金で給付(1人あたり小学生3万5千円、中学生5万円)。小中学生育児助成金として約300万円を予算化している。

 喜界町では22年度から無償化を実施。町教委によると、無償化前の歳入は21年度で2254万8千円だったが、給食費の徴収が教職員のみとなったことで573万円に減少。歳出(材料費、給食センター運営費など含む)は21年度3779万6千円、22年度は3640万9千円を計上した。

 天城町も無償化を22年度から実施。町給食センターによると、学校給食費の予算額は年間3500万~3600万円で、起債事業のほかふるさと納税の一部も活用しているという。完全無償化の前からご飯、パン、牛乳の費用は助成し、おかずのみ有料。「無償化の前から1食あたり3分の1は助成していた」と説明する。

 伊仙町も22年度から無償化に踏み切った。給食センターによると、予算額は23年度の場合約4900万円で、過疎対策事業債を活用し財源を生み出している。給食費の保護者負担がなくなったことで「とても助かっている」といった声が寄せられ、歓迎されているという。

 学校給食費の無償化は奄美市でも要望が出ている。新日本婦人の会など共産党系の6団体で構成する民主団体協議会が今年6月、市議会に3千人近い署名を添えて陳情書を提出した。「共働き世帯やひとり親世帯の増加に加え、急激な物価高騰が重なり家計の負担が増している」という理由で。奄美市の給食費(1人あたり)は小学生で年間3万4千円、中学生で同4万3600円。

 学校給食費は、学校給食法で保護者が負担するものとされている。要保護世帯は生活保護法に基づく教育扶助等による全額支給、準要保護世帯は市町村から助成が行われ、その市町村負担は交付税措置がとられている。その他の世帯については市町村独自の取り組みで助成が行われている。