生息空白地帯が解消に向かっていると分析されたアマミノクロウサギ(資料写真)
3日、環境省が宣言した特定外来生物フイリマングース根絶のニュースは全国的な話題となり世界に発信された。陸域面積712平方㌔㍍に、推定1万匹まで増えたとされるマングース。宣言を前に行われた防除事業検討会では、マングースが低密度化するに伴って、希少な在来哺乳類や鳥類などが回復していく状況も報告されている。
在来哺乳類の生息確認範囲の経年変化を示した報告では、2023年度に新たに生息が確認されたメッシュ(観測網)と、過去のデータを比較し生息域が広がっていることが示された。
アマミノクロウサギは、龍郷町周辺の集団と奄美市住用町及び大和村より西側の地域に分断されていたが、15年以降空白地帯となっていた奄美市名瀬や龍郷町戸口周辺において生息確認メッシュ数が増加、個体群の分断が解消に向かっているという。
アマミトゲネズミは、島の中央部の在来ネズミ類生息核心地域を中心に確認されていたが、年々外側へ分布域を拡大。15年以降が顕著で、19年以降は北部から東部への拡大が進んでいる。特に奄美市名瀬周辺等で増加、同市住用町、瀬戸内町古仁屋、宇検村でも増加し南北に拡大していることが確認された。
ケナガネズミは、北東部と西部に個体群が分かれていたが、15年以降奄美市名瀬の大川ダム周辺や市街地でも生息が確認。北東部へ分布拡大しており、龍郷町戸口周辺でも増加していると報告された。北東部個体群は南西部へ拡大しており、分断息が狭くなったと考えられている。
奄美群島国立公園管理事務所の阿部愼太郎企画官は、マングース根絶の意義を次のように分析している。
▽01~02年頃には希少哺乳類・鳥類が侵入前の約2割に減少▽09年頃から改善傾向を見せ、カエル類を含め在来種が回復▽穀類を好むとされる外来のクマネズミは、エサの豊凶に左右されマングースの影響を受けていない。
環境省は奄美大島のこれからの在り方について「新たな外来種の侵入など課題は残る。監視体制(バイオセキュリティ)が大切になってくる」として、住民に目撃情報の提供などを求め続けていく。