環境省沖縄奄美自然環境事務所(奄美群島国立公園管理事務所、徳之島管理官事務所)は15日から11月15日まで「2024年度アマミノクロウサギ交通事故防止キャンペーン」を行う。活動が活発になり、交通事故の発生が多くなる9月以降の秋期に毎年行っているもので、地域住民や観光客へ安全運転を呼び掛け、野生動物保護の意識高揚を図る。マングース根絶に続けとつけられた今年のキャッチコピーは『「ロードキル根絶宣言」、いつ?』。
同省によると、アマミノクロウサギの交通事故件数は、20年74件(奄美大島56件、徳之島18件)、21年83件(65件、18件)、22年148件(107件、41件)、23年176件(147件、29件)と急増傾向にある。このうち21年には奄美大島で救護された2匹が野生に放され、1匹を飼育移管、徳之島では23年に1匹が飼育移管されている。
24年は8月末までの速報値で、事故は98件(74件、24件)発生。奄美大島で3匹が救護されたものの、のちに死亡している。そのほかはいずれも死亡した。
奄美大島で事故の多かった場所は▽国道58号奄美市住用町役勝~網野子トンネル▽市道朝戸~城間▽県道81号奄美市名瀬芦花部~龍郷町秋名▽県道79号大和村大金久~今里▽フォレストポリス、湯湾岳周辺▽県道79号宇検村須古~部連▽県道85号、612号。
徳之島では、23年は北部の県道629号手々~金見で多く発生していたが、24年は島の中央部を走る県道618号松原~轟木で増えている。
防止キャンペーンでは、啓発チラシを配布する特別イベントやポスター掲示、奄美空港ロビーでの特別展示などを予定している。
同省では「個体数や生息地の回復とともに、生活圏での目撃情報も増えている。看板や標識のある場所は、野生動物の交通事故の多い場所であることを認識してほしい」と、夜間通行での安全運転の徹底を呼び掛けている。
希少野生種の事故や傷病個体を発見した際の連絡は、奄美野生生物保護センター電話0997・55・8620、徳之島管理官事務所電話0997・85・2919。