作品「アダンの海辺」の前で報道陣の注文に応じる小泉孝太郎さん
大島紬であいさつする小泉孝太郎さん(中央)と宮地正治さん(右端)。いずれも奄美リゾートホテル ティダムーン代表取締役社長で大島紬美術館の肥後勝代代表取締役が用意したもの
【東京】台東区の東京都美術館企画展示室で「田中一村展」(主催・公財東京都歴史文化財団、東京都美術館、田中一村記念美術館、NHK、日本経済新聞社ほか、協賛・DNP大日本印刷、日本典礼)が19日に始まるのを前に18日、プレス内覧会、開会式が盛大に開催された。天才画家の作品を間近に感じられる田中一村展は12月1日まで。
「不屈の情熱の軌跡」「奄美の光 魂の絵画」とのサブタイトルが施されたポスターが鮮やかな「田中一村展」が、19日にオープン。国内最多のコレクションを誇る、奄美市笠利町の田中一村記念美術館(県奄美パーク内)の全面的な協力により東京都美術館で大回顧展が開催される。
会期中には、多くの来場者が予想されるが、開幕を前に18日にプレス内覧会・開会式が行われた。内覧会で、田中一村記念美術館学芸専門員の上原直哉さんは「これほどの作品がそろうのは初めて」としながら「アダンの海辺」などを解説した際、一村と交流もあり作品に魚を提供していた押川フサエさんが、開幕を見守るよう17日に100歳で天寿を全うしたことを紹介した。
開会式では、主催者の東京都美術館長・高橋明也(あきや)さんが「一村はグローバルな画家。奄美から世界的な感性で仕事をした」とあいさつ。田中一村記念美術館長で、県奄美パーク園長の宮崎緑さんは「一村は、ネリヤカナヤで開催を喜んでくれている」と笑顔で語った。
協賛社として紹介された日本典礼会長で東京奄美会会長の宮地正治さんは、天皇陛下が初来島された1968(昭和43)年の献上柄の大島紬で登場した。
その後、同展アンバサダー・音声ガイドナビゲーターを務める俳優・小泉孝太郎さんが主要作品の一つ「不喰芋(くわずいも)と蘇鐵(そてつ)」をモチーフにした、世界に一着の大島紬(亀甲の白大島)を着用し登壇。「一村は、ものすごく努力した方。多くの方に見てほしい」とにこやかにPRしていた。大回顧展では、近年の研究で発見された資料も多数含まれている構成で、神童と称された幼年期から最晩年に奄美で描かれた作品まで、300点以上が一堂に紹介される。開室時間は午前9時半~午後5時半まで。問い合わせは(ハローダイヤル)050・5541・8600(全日午前9時~午後8時)