関西手々郷友会のふるさと訪問団を交えて再現、にぎわった「ムチタボリ」=17日夜、徳之島町手々
【徳之島】徳之島町手々出身者たちでつくる関西手々郷友会(西元正会長)のふるさと訪問団一行30人が約10年ぶりに帰省。16日は「懇親会・敬老会」に参加して旧交を温め、17日は手々海岸での追い込み漁体験と「漁(ぎゅう)なぐさみ」昼食会。夜は、集落ぐるみで再現した名物の伝統行事「ムチタボリ」の踊りにも溶け込み、ふるさとを大いに満喫した。
関西手々郷友会(会員約220人)は今年創立60周年を迎え、会としてのふるさと訪問は50周年以来10年ぶり。来島メンバーは西元会長(68)=大阪府貝塚市=や同会顧問で最年長の園田勝儀さん(81)=大阪市=から、初来島の孫世代にいたる家族連れが中心。
16日(敬老の日)に手々へき地保健福祉館であった懇親会・敬老会には住民ら合わせて約70人が集った。ふるさと留学生ら手々小中の子どもたちの空手演武や島唄・三味線演奏にもえびす顔で満足。一行は「交流を通じて出身者やふるさとを元気にすることが会の役目」として、手々集落と徳之島町に寄付金を贈った。
17日午前は台風の余波が少ない手々海岸リーフ内の浅瀬で、棒で水面をたたきながら仕掛け網に小魚を追い込む漁にも挑戦。新鮮な魚介類を豪快に煮込む伝統の鍋料理「漁なぐさみ」の昼食会にも舌鼓を打った。
そして午後7時過ぎからは、手々小中校門を基点に集落内の数軒を踊り巡る「ムチタボリ」の〝白布の舞い〟(町指定無形民俗文化財)がスタート。本来は、月遅れ盆の最終日(送り盆)恒例の伝統行事だが一行のため初めて再現した。〝本番〟以上の約60人の踊り連で活気に包まれた。
西元会長は「やっぱり自分たちの生まれ故郷はいい。われわれ(郷友会)も大阪・浜寺公園でムチタボリ(踊り伝承活動)をやっているが、夜に踊るのは初めて」と本場の高揚感に浸り、声を弾ませた。
両親が手々出身の吉田節子さん(77)=大阪・泉大津市=は短大生の時以来53年ぶりに来島。いわゆる〝手々3世〟の長女(48)に「祖父母の生まれた島に一度は行ってみたい」と促され、義理姉と3人で。手々では「タンカンを送っていただいた93歳のおじいちゃんともご対面。島の人たちの厚い人情に感動しています」と満足そう。
同集落の村山佐ヱ明区長(74)は「10年ぶりに郷友会ご一行をお迎えし、集落を挙げてもてなそうと呼び掛けた。きょうだい親戚や島の事を忘れずに帰って来ていただいたことにあらためて感謝したい」と話した。