国際地質学会で「喜界島の完新世サンゴ礁段丘」をプレゼンテーションする(左から)隈崎町長、渡邊理事長=喜界町提供写真
地質学の普及を目指し世界の研究者や専門家が集う国際地質学会が、韓国の釜山であり、隆起サンゴ礁の島・喜界島が第2回「地質遺産100選」に正式認定された。隈崎悦男町長が学会の会合でスピーチし、サンゴ礁段丘の歴史や見どころをPR。10万年にわたる隆起活動でできた貴重な島を世界に発信した。
地質遺産は、地質学の発展を目的に国際地質科学連合(IUGS)が認定している。同町は「喜界島の完新世サンゴ礁段丘」として、今年6月に内定を受けていた。1万年前から現代に及ぶ完新世の地震活動が記録されている点、保存状態の良いサンゴから気候変動の変遷が調べられる点なども評価されたという。
学会は8月27日にあり、16か国・21地域が集まり認定地が正式に公表された。認定プレゼンテーションには、隈崎町長と喜界島サンゴ礁科学研究所の渡邊剛理事長が登壇し、各国の専門家や認定地域の関係者を前に喜界島を紹介。「10万年のサンゴ礁」をテーマに、サンゴ礁段丘の変遷や研究成果を報告した。
同町では23年6月に喜界島ジオパーク推進協議会を立ち上げ、地質・地形を保護し学びに生かす「日本ジオパーク認定」を目指している。同町企画観光課の中村幸雄課長は地質遺産認定を受け、「学術的要素が強く町民にどう伝えていくかは課題。日本ジオパークを目指しながら、島おこしや観光資源として活用していければ」と話した。
地質遺産は2022年に、地質学の研究や発展に貢献した場所100か所を認定。第2回は65か国・174候補地から申請があり、喜界島のほか、長崎県雲仙・普賢岳の溶岩ドーム「平成新山」も選ばれた。国内の地質遺産は玄武洞(兵庫県)と野島断層(同)に次いで4か所となった。10月には県庁で塩田康一知事への報告も予定している。