県議会9月定例会は19日、引き続き代表質問があり、県民連合の秋丸健一郎議員=霧島市・姶良郡区=、公明党の村野俊作議員=鹿児島市・鹿児島郡区=が登壇した。障がいを理由に不妊手術を強制した旧優生保護法を巡る質問で、県内では178件の本人の同意によらない不妊手術があり、一時金の請求申請はこれまでに県内在住の6人から行われていることが報告された。
同法に関する今年7月の最高裁判決について塩田康一知事は「旧法の規定が個人の尊厳と人格の尊重の精神に著しく反し、合理的な根拠に基づかない差別的な取り扱いが憲法に違反しているとの判断が示された」などと説明し、県としては「国の新たな救済法の制定の動向を注視するとともに引き続き当事者や関係者の心情に寄り添いつつ相談などに対応していく」と述べた。
県内の状況については新川康枝・子ども政策局長が答弁。強制不妊手術件数について「国の統計資料で確認した結果、1954(昭和29)~79(同54)年までに178件と把握している」と説明。一時金支給法(支給額は一律320万円)の成立を受けて県では受け付け相談窓口を設置。専用電話などの相談対応や一時金請求の申請受け付けを行っており、国が審査や認定をしている。一時金の請求申請が国に提出されたが、このうち認定5人、不認定1人となった。不認定の理由については国から県に示されていないとした。
関連して障害者差別解消法改正後の現状についての質問があり、房村正博・保健福祉部長が答弁。合理的配慮の提供について、▽県及び県内全ての市町村=職員対応要領を作成し、スロープ設置や車いす配置、聴覚障がい者への手話や筆談による対応▽学校=受験生の申し出による別室受験、問題用紙の拡大▽事業所=公共交通機関の乗車補助や施設のバリアフリー化―を挙げる一方、事業者から「合理的配慮に関係する相談や問い合わせが寄せられている」と述べた。
防災に関し避難所指定された県有施設の現状が取り上げられた。桑代毅彦・危機管理防災局長の答弁によると、市町村が指定する県内避難所のうち県有施設は昨年10月1日現在、県立学校の32施設をはじめ県営住宅集会所など37施設。これらの施設で防災機能確保のための対策が施されている割合は、現時点で非常用発電機等が70・3%、冷房機器56・8%、通信設備89・2%など。夏場を中心に厳しい暑さが続く中、冷房設備は6割に達していないが、桑代局長は「昨年7月の内閣府通知を受け、指定避難所となっている県有施設の防災機能設備に努めている」として市町村と連携しさらに強化するとした。
奄美群島の徳之島空港・名瀬港・和泊港を含めて県内2空港・6港湾が指定された特定利用空港・港湾について、木佐貫浄治・土木部長は国から地元の8市町に対し個別に行われた説明内容を報告。利用のイメージについて「民生利用を主とし自衛隊等の優先利用のためではない」「有事の利用を対象とするものではない」「対象施設での自衛隊等の訓練は年数回程度を想定している」との説明があったとした。
県警不祥事に関し公益通報制度の質問(公務員の守秘義務との関係)があった。虫明徹・総務部長は答弁で「公益通報者保護法においては、対象となる通報対象事実は刑法や食品衛生法など国民の生命、身体、財産その他の利益に関わる法令に違反する犯罪行為や過料対象行為としている。国は公益通報者保護法に規定する通報対象事実は、地方公務員法に規定する秘密として保護するに値しないと考えられるため、地方公務員が通報対象事実について公益通報したとしても地方公務員法に違反しないとしている」と説明。一方で公益通報にあたり「例えば第三者の営業秘密等に関する情報など通報に必要ないものなどを漏らした場合は地方公務員法に定める守秘義務違反を問われる」と述べた。
24~27日まで一般質問がある。