物価高や賃上げ、経営に打撃

物価高騰の影響を踏まえた現状について話し合った奄美市中小企業振興会議

奄美市中小企業振興会議
対策や施策反映へ意見交換

 経済や金融、福祉団体などの関係者で構成する奄美市中小企業振興会議(会長・有村修一奄美大島商工会議所会頭、委員16人)が19日、奄美市名瀬のAiAiひろばであった。委員や市、県らが、物価高騰や最低賃金の上昇に伴う影響などについて意見を交換。対策では価格転嫁の必要性が指摘される一方、物価高や賃上げが経営を圧迫する深刻さなども浮き彫りになった。

 奄美市が主催し、業界から課題や問題を聞き取ることで、市の施策に反映を目指す事業の一環。この日は「物価高騰の影響を踏まえた現状について」を議題に、さまざまな業界を対象に行ったアンケート調査が公表され、委員らが意見を交わした。

 市が実施したアンケートによると、物価高騰の影響については、対策として価格転嫁を行ったとする企業がみられる一方、サービス業では思うように値上げができないといった意見も多く寄せられた。宿泊業については高価格帯の事業者も増えてきている半面、都市圏と比べると奄美の宿泊料金はまだまだ低いといった声も紹介された。介護業からはサービス利用控えで体調を崩す人が増えているといった報告も上がった。賃上げについては、業績の改善がみられない中で従業員の引き止めやホスピタリティの確保のためといった防衛的な賃上げが多く、長引く影響の中で一企業では限界があるといった主旨の意見も挙がった。

 意見交換では金融機関から、「コストカットより値上げをアドバイスしている。少しずつ浸透してきている」と指摘があった一方、「安易な値上げは客離れにつながりかねない」と戸惑う声もみられた。賃上げについては「働き手はいくらでもいるわけではない。人口も減っていく。10年などのスパンで、どうやって経済を維持するのか考えなければならない」と切実な意見も出された。

 市商工観光情報部の麻井庄二部長は、観光需要の喚起やLCC運航の通年確保に向けた取り組みの必要性を述べ、「全国的な問題でできることは何か、何ができるのかを考えたい」と話した。有村会長は「多くの課題は相互に影響し合っている。今後も民間や行政が協力し、奄美の活性化につなげていこう」と呼び掛けた。