講演する名瀬保健所・徳之島保健所の相星壮吾部長兼所長(22日、瀬戸内町のきゅら島交流館)
展示ブースで手のひらから野菜摂取量の測定を体験する来場者ら(22日、瀬戸内町のきゅら島交流館)
瀬戸内町などは22日、同町のきゅら島交流館で「瀬戸内町ウェルビーングフェス めざそう!『生涯現役』」を開いた。町内外から約70人が来場。講演と展示ブースの見学体験を通して自身の健康について学び、知識を深めた。
ウェルビーングは「よく在る」「よく居る」状態、心身ともに満たされた状態を意味する概念で、健康・幸せ・福祉を表す言葉。同町では不定期で開催している。主催者を代表して同町の鎌田愛人町長が「自分自身、そして家族を含めて健康づくりについて考えてもらい、講演や展示・体験ブースなどで楽しみながら、皆さんも、私も健康に気をつけたい」とあいさつ。前半の講演では県大島支庁保健福祉環境部で名瀬保健所・徳之島保健所の相星壮吾部長兼所長が「健康づくりは『血管』が命!」をテーマに「糖尿病は血管病。血糖値が高いままの生活を続けていると血管がもろくボロボロの状態になり、全身の臓器にさまざまな障害や影響がある」と語り、「日本人は糖尿病になりやすく、20歳以上の男性の約2割、女性の役1割は糖尿病の疑いがある」と説明した。
また、奄美は健康寿命が全国・県平均とも比べて低いことから健康寿命を伸ばすための作戦(方法)として①個人の取り組みを地域で支えること②生活習慣の改善はできることから楽しく行うこと③検診と事後指導を大事にする―などを挙げ、相星部長兼所長は「糖尿病に限らず高血圧など心配な場合は悪化する前に早めに医療機関へ受診してほしい」と呼び掛けた。
後半は京都大学大学院医学研究科薬剤疫学分野の高山厚特定助教による「実はこんなことで糖尿病に!?~今日からできる健康になるセルフケア」をテーマに「糖尿病は血管病だから、“しめじ”(神経の症状、目の症状、腎臓の症状)と、“えのき”(壊疽(えそ)、脳卒中、虚血性(きょけつせい)心疾患)といった症状の可能性がある」と語り、「糖尿病になると歯を失ったり、がんのリスクも向上する。また若くして糖尿病になるほどリスクも上昇する」と述べ、予防として①運動②食事③適正体重への減量―を上げ、1日30分のウォーキングを週5回するだけでもリスクを約30%、良い食習慣で約42%、適正体重への減量で約60%それぞれリスクが減少すると説明。
高山厚特定助教は「社会的サポートの改善で糖尿病の血糖コントロールは改善する」といった研究結果を説明した上で「家族や友人ご近所さんを含めたつながりを大切にすることが真の健康につながる」と述べた。
来場した同町古仁屋の女性(72)は「更年期障害の影響で50代の時から血圧の薬を服用し続けている。定期健診にも行っているが先日、高血圧予備群という手紙をもらった。運動などにも取り組み3㌔の減量にも成功したが、改めて自身の生活習慣を見直したい」と語った。
会場には各企業や団体のブースが設けられ多くの来場者でにぎわいを見せ、最後にはウェルネス・ウェルビーイングなライフスタイルを啓発する『国際スポーツ&ウェルネスウィークエンド』にあわせて、会場全員でWの指文字を作り、イベントを締めくくった。