車座形式で意見を交わすシンポジウム参加者たち
オーガニック(有機)を通じて喜界島の産業を考えるシンポジウム「地域産業の活性化とオーガニック」が28日、同町湾の旧朝花であった。参加者らはオーガニック食品や有機農業のエキスパートたちの話に耳を傾け、意見を交換。オーガニックを地域の振興策として生かしていこうと、魅力や課題を探り合った。
世界規模で市場を伸ばすオーガニック食品や有機農業のニーズを地域の商品開発などに活用していこうと、NPO法人オーガニックアイランド喜界島(杉俣紘二朗理事長)が主催した。シンポジウムは、ゲストの講話とパネルディスカッションの2部制で実施した。
食品の卸や輸入を手掛けるマイルストン食品(東京都)の内田徹代表はオーガニック食品について「日本では体に良いと捉えられているが、先進国イタリアは環境や土壌にやさしいとするなど、考え方は根本的に異なる」と市場性の違いなどに言及。買い付けでは「社員が幸福に働けているのかも見ている」と独自の基準なども示した。
有機野菜などを使った調味料を製造する高橋ソース(埼玉県)の高橋亮人代表はオーガニック製品の販売方法について「有機の価格はどうしても高く、消費社会にあて込むのは少し違う。質を理解するコミュニティーに流通させるのも一つの手だ」と助言した。無添加のマドレーヌで社会貢献を実践するモプレシャス(東京都)の松本加奈子代表は「高くても商品が心に残るのは(環境保全に役立つなど)プライスレスの価値があるから」と価格に転嫁できる付加価値の必要性を訴え、サトウキビ栽培で有機JAS認証を日本で初めて取得した喜界島工房代表の杉俣理事長は、「栽培は大変。安定した量の確保も難しい。(市場への普及は)企業、流通、生産の相互理解があってこそだ」と思いを語った。
パネルディスカッションでは風と光(神奈川県)の辻明彦会長を座長にゲストと参加者らが車座形式で意見を交わした。島の割高な流通費、慣行栽培との差別化、行政の方向性、バガスの有機肥料への活用などについて一緒に議論。閉会式であいさつした朝日酒造代表で喜禎浩之副理事長は「理想と現実で相反する部分はあるが、小さい喜界島だからこそできることをこれからも一緒に考えていこう」と呼び掛けた。