徳之島コーヒープロジェクト初の「徳之島コーヒー」商品
初商品をお披露目した官民連携プロジェクトの代表ら=29日、伊仙町
【徳之島】徳之島初のコーヒー栽培模索から42年。徳之島コーヒー生産者会、伊仙町、味の素AGF㈱、丸紅㈱など官民連携の「徳之島コーヒー生産支援プロジェクト(PJ)」の発足から7年。初の「徳之島コーヒー」発売記念イベントが29日、同町直売所・百菜(ひゃくさい)前の駐車場であった。式典や初商品のお披露目・即売会、関連イベントでにぎわい、新たなステージに期待を寄せ合った。
徳之島産コーヒーは島内外の特定の専門店などでは限定供給が始まっているが、一般消費者向けの初商品化にこぎ着けた「徳之島コーヒー」はパーソナルタイプドリップコーヒー。「一粒ずつ丁寧に育てた徳之島産コーヒー豆をブレンド(30%以上)。甘くて香ばしい香り、すっきりとした澄んだ味わい」が特長だ。
発売記念イベントは徳之島コーヒー生産者会(泉延吉会長、会員約30人)が主催。関係者や消費者ら約150人が見守る中、泉会長や大久保明伊仙町長、島本憲仁・味の素AGF代表取締役社長、吉村雅比古・丸紅飲料原料部長の4氏が商品化を報告し、お披露目した。
泉会長(76)はあいさつで「商品化できて感無量。課題の生産量も増やせるよう努力したい。コーヒーの木は一度植えれば15、16年植え替えが要らず、他作物に比べて作りやすい。後継者も育て、徳之島コーヒーのネームバリューも高めたい」と決意を表明した。
大久保町長は、コーヒー栽培に不可欠な防風対策としての平張りハウス導入にも触れ、「今からが本当の闘い。自信と誇りを持って徳之島コーヒーを日本国中や世界に発信を」と期待を込めた。
6月に就任したAGFの島本社長も「本当に感無量。一番感じるのはこの島の皆さんの心の温かさ。その生産者さんたちが育てたコーヒーは絶対においしい。お顔と愛情を思い浮かべ〝頭で飲むコーヒー〟を作りたい」ともアピールした
同島で初めてコーヒーの木の栽培を始めた同生産者会育ての親で、昨年死去した前会長の吉玉誠一氏の妻道子さん(70)=同町伊仙=は、手探りで試行錯誤した約40年間を振り返りながら「うれしいの一言に尽きます。コーヒーは諦めないことが大事」と話した。現在、同町犬田布岬で経営する喫茶店でその味覚を提供している。
会場では1パウチ300円の「徳之島コーヒー」計1720個を販売した。AGF社員らバリスタが講師のコーヒー豆焙煎(ばいせん)体験コーナー、地元の手作り特産品販売ブースなども好評だった。