唄者・石原さんの米寿祝う

石原さんを囲んで記念写真に納まる関係者(提供写真)

締めの六調まで楽しく盛り上がった(提供写真)

弟子たちの呼び掛けで実現

 宇検村の唄者、石原久子さんの米寿を祝おうと、石原さんの弟子で東京に住む脇田真由美さんと奄美在住の前山真吾さんの呼び掛けでこのほど、奄美市のシマ唄居酒屋「和美」を会場に祝う会が開かれた。1937年5月17日生まれの87歳。88歳になる来年を前に開催された。

 会には、お店の女将(おかみ)の西和美さんと娘の恵子さんをはじめ、昇喜代子さん、瀬戸内町古仁屋から里美加さん、宇検村から米田愛子さん、福山克也さんらシマ唄仲間や弟子総勢12人が参加した。石原さんはコロナ禍以来、シマ唄教室は閉じた。
 
 弟子が祝いの唄の「朝顔節」を石原さんのために歌うと、自然と唄あしびが始まった。「俊良主節」の歌詞に出てくる「三味線の名手の宇検の市四郎」は弟子の福山さんのひいおじいさんにあたり、もう一人の名手の「西古見の長浜役目」は西さんの遠縁の人という話で盛り上がった。歌の歌詞にそぐわないはやしが付くと、「それは違う」と石原さんが指摘する場面もあった。

 「唄あしびは一人一人歌っていくものと思っていたが、みんなで合唱のように歌ったり、途中で歌に詰まった人がいたら周りが一斉に加勢する。みんなで助け合いながら歌う様子に昔ながらの歌掛けを見た気がし、この会ならではのいい雰囲気だった」と脇田さん。

 前山さんの妻から花束が、東京からもご祝儀が届けられた。

 「うれしそうな先生の顔を久しぶりに見ることができた」と参加者らは共に楽しい時間を過ごした。

 合間には昔の唄者の映像を見ながら、思い出話に花を咲かせた。懐かしい唄者が出てくると「あちらの集落の人は気が荒いから、唄も荒くて、酒もたくさん飲む」などの話が飛び出し、終始笑顔に包まれた会になった。