奄美市住用地区 交通空白地有償旅客運送

「三太郎タクシー」の運転手となる地元住民と奄美市社協職員(1日、奄美市住用総合支所)


笠利地区では、3路線が週5日定時運行される(1日、笠利総合支所)=提供写真=

地元高齢者が運転手
「三太郎タクシー」スタート
笠利地区でも運行開始

 奄美市は1日、バスダイヤ改正(10月1日~)に伴う減便によって交通空白地となった住用地区と笠利地区で、「自家用旅客運送・交通空白地有償運行制度」による旅客運送をスタートさせた。減便により、平日朝夕1往復のみの運行となった同市住用地区では、同町在住の高齢者を中心とした運転手が通称「三太郎タクシー」で、利用者を自宅から目的地まで送り届けることになった。事業費は24年度末までで125万円。

 国土交通省が定める同制度は、公共交通機関によって移動手段が確保できない過疎地域において、住民の移動手段を確保するための運行形態。

 奄美大島島内では、路線バスを運行する㈱しまバスが、利用者の減少による赤字の累積と運転手不足を理由に、9系統の廃止、4系統の減便を含むダイヤ改正を決定。住用地区では、住用総合支所と市集落、三太郎の里を結ぶ2路線が、通学用の朝夕の便のみを残し減便となった。

 同市地域公共交通活性化協議会は8月29日に改正を承認。同時に、日中の時間帯に交通空白地となる2地区において、地域住民や観光客などの移動手段確保を目的に同制度の登録申請を決めた。

 三太郎タクシーの運行は同市社会福祉協議会に委託。安全研修などを済ませた同町在住の60~70代の男女6人と社協職員7人が運転手として登録した。事前予約が必要なデマンド方式での運行となり、自宅から目的地(住用町内)までドア・ツー・ドアで送り届ける。 

 平田博行支所長は「減便は大きな衝撃だった。三太郎タクシーの運行は、高齢者が多い住用町ではなくてはならない足になる」と期待を口にした。

 同タクシー利用の詳細は次の通り。

 ▽運賃=1乗降につき300円(小学生半額・未就学児無料)▽運行=月~金曜の平日午前8時半~午後5時▽予約=利用希望日の前日正午まで。電話0997・69・2190同市社協住用支所。

 笠利地区でも、赤木名を発着点にした3路線で1日2~4便の定時運行を始めた(運賃=同)。運行は、祝日に関係なく月・火・木・金・土の週5日。委託先は㈱三井タクシー。事業費は同345万4千円。