県は1日、県内の2023年度市町村普通会計決算(速報値)を発表した。歳入(前年度比3・1%増の1兆1074億1500万円)、歳出(同3・2%増の1兆640億500万円)とも前年度を上回り、3年ぶりの増加。決算収支で実質収支は全団体が黒字、実質単年度収支は赤字となり、赤字は2年連続。実質単年度収支の赤字は43団体中29団体(前年度比5団体増)で、この中には奄美群島自治体の8団体(同1団体減)も含まれている。
331億9300万円の黒字となった実質収支は前年度比20億1500万円減少。実質単年度収支は2億3900万円減少し、赤字額は57億5500万円だった。
市町村課によると、実質収支に表れない前年度からの繰り越しや積立金の積み立て・取り崩し、繰り上げ償還の影響を加味した最終的な収支の目安となるのが実質単年度収支。奄美の市町村で赤字額の最高は瀬戸内町の2億8500万円で、前年度最高(3億9800万円)だった龍郷町は400万円の黒字に転じた。他の黒字団体は奄美市(1億2600万円)、伊仙町(7500万円)、和泊町(1億2400万円)で合計4団体。
全体の歳入のうち自主財源は3952億7200万円(構成比35・7%)で、前年度比4・3%増、構成比でも0・4ポイントの増。自主財源のうち地方税は2110億200万円で、このうち固定資産税が1・1%増、市町村民税個人分が同となり、全体では0・9%の増。依存財源は7121億4300万円(同64・3%)で、前年度比2・4%増。国県支出金は、国庫支出金が19・1%減と2割近く減少、県支出金は4・1%増となり、全体では0・2%の減となった。
歳出の主な状況は、▽人件費1・0%減▽扶助費8・8%増▽公債費1・6%減▽普通建設事業費は補助0・4%、単独22・4%のそれぞれ増となったことなどから、全体では11・1%の増―など。
貯金にあたる積立金残高を奄美の市町村別にみると、奄美市(171億100万円)、龍郷町(50億6800万円)、喜界町(42億4800万円)が上位。最少は大和村(13億5700万円)だが、全市町村が10億円以上となっている。
県内市町村の財政指標をみると、財政力指数は0・28(前年度比0・01低下)、経常収支比率90・7%(同0・2ポイント上昇)、実質公債費比率(3か年平均)7・1%(前年度と同じ)。このうち経常収支比率の高い団体では阿久根市(93・6%)が県内最高で、次いで宇検村(92・8%)。財政構造の弾力性を判断する指標で、高いほど硬直化を表している。実質公債費比率は12年連続で県内全ての市町村が18%未満となり、地方債の発行に許可を要する団体はない。
奄美の市町村の場合、財政力指数の最高は奄美市(0・27)だが、県平均(0・28)にはわずかに届いておらず、全市町村が県平均以下で、最低は大和、宇検両村の0・08。県内最高は鹿児島市の0・70。実質公債費比率は和泊町(16・6%)が県内最高、知名町(11・9%)も3番目に高い。和泊町のワースト1位は、同2位の三島村(13・9%)に比べ、突出したままとなっている。