オンライン併用で開催された第120回奄美群島振興開発審議会の様子
【東京】第120回奄美群島振興開発審議会(会長・石塚孔信鹿児島大学法文教育学域法文系教授)が2日、千代田区霞が関の中央合同庁舎第3号館を拠点にオンライン併用で開催された。会議では、2023年度に奄美群島の振興開発に講じた施策について報告があり、活発な議論が交わされた。
冒頭に黒田昌義国土政策局長があいさつ。同会議は9人の委員が出席し石塚会長が司会を務めた。議事は「23年度に奄美群島の振興開発に関して講じた施策」「奄美群島振興開発計画」「奄美群島振興開発基金の経営改善に向けた取り組み状況」について。事務局から資料に添って説明され、その後、各委員が意見を述べる形で開始された。伊村達児氏(伊村農園代表)は、沖永良部島での生産者の立場から発言。「子牛価格が3年前から半減し、このままでは廃業する農家も。一方、インバウンドで神戸牛や飛騨牛が売れている」と実態を訴え「赤字経営に対する融資枠の拡大」も求めた。県は「質の高い和牛を高い値段で売っていくことに取り組んでいきたい」などと応じた。
高岡秀規氏(大島郡町村会会長)は「農家のコストを下げることに予算を掛けないといけない。当初予算を確保してほしい」と強調、事務局からは「しっかりと取り組んでいきたい」との返答を引き出した。沖縄との連携については「連携といってもどう具現化してくのか見えづらい」(三神万里子氏・ジャーナリスト)とする意見や「沖縄側に、奄美との連携のメリットをもっと示してはどうか。沖縄で余っている黒糖での黒糖焼酎を」(鯨本(いさもと)あつこ氏・NPO法人離島経済新聞社代表理事)などが交わされた。ほか、開発基金の経営改善に向け単年度ごとに見直すことや、大島紬などの伝統をビジネスと差別化していくことが大事だとの声があった。
奄美群島広域事務組合を代表して安田壮平氏(奄美市長)は活発な意見交換に感謝し「沖縄の若い世代は、泡盛をやめて芋焼酎を飲んでいると聞いた。黒糖焼酎の消費拡大のチャンスだ」と報告。塩田康一氏(鹿児島県知事)も前者同様関係者に感謝を伝えたうえで「国、12市町村と今日の意見を踏まえ、引き続きやっていきたい」と力を込めた。