観光・教育面の相互交流や特産品の物流促進などを図る「国際交流促進覚書」に調印した4自治体の首長(9月26日、熊本県菊池市)=提供写真
西郷隆盛の長男・菊次郎(1861~1928年)ゆかりの熊本県菊池市、龍郷町、さつま町、台湾宜蘭市の4市町はこのほど、人材育成、観光、経済などの分野で交流活性化を図るための「国際交流促進覚書(MOU)」を締結した。宜蘭市などと姉妹都市の関係にある龍郷町の竹田泰典町長は「年末に予定している『菊次郎ミュージカル』のメンバーによる台湾訪問をきっかけに、相互交流につなげたい。黒糖焼酎や特産品の販売も進めていく」と期待を述べた。
MOUの締結は、21年に熊本県へ進出し、今年中に量産を開始する台湾の半導体受託製造大手「TSMC(台湾積体電路製造股份有限公司)」の新工場建設、熊本空港の新旅客ターミナル開業などを機に台湾との交流を推進したい菊池市が提案し、合意に達したもの。
覚書には「観光・教育等による相互交流の促進」「農産物・特産品等の物流の促進」などが明記され、「四者は定期的な協議及び相互往来を行っていく」と明記された。
竹田町長は、宜蘭市との国際交流について、「年末に『菊次郎ミュージカル』に出演するメンバーが同市を訪れる予定。小中学生の交流を進め、相互交流につなげたい」と話した。物流促進については、「町で製造されている黒糖焼酎を台湾で販売する動きがある。特産品販売についても、菊池市、さつま町と協力して進めたい」と語った。
菊次郎は、流罪になっていた隆盛と愛加那の長男として龍郷町で生まれ、8歳で県本土の西郷本家に引き取られた。日清戦争後の1897年、日本に割譲された台湾宜蘭市で県知事にあたる初代長官を務め、氾濫が相次いでいた宜蘭川の堤防整備などに取り組み、近代化に貢献した。
1904年から務めた京都市長を退職後、12年からさつま町にあった「永野金山」の鉱業館長となり、夜学校を作り人材育成に貢献した。菊池市には西郷家のルーツがあることから、明治維新から150年にあたる2018年、4市町と京都市は「西郷菊次郎翁を縁とした交流宣言」を行っている。