奄振基金、経営改善へ方向性

検討会による経営改善の方向性として有償のコンサルティング業務も盛り込まれた奄美群島振興開発基金

有償のコンサル業務も

 奄美群島振興開発基金(藤井隆理事長)の経営改善に関する方向性でコンサルティング業務が示されているが、その在り方では繰越欠損金の削減に向けて有償を盛り込んでいる。実現へ人材育成や組織強化による「コンサル能力の向上」を求める。

 今月2日、国土交通省であった奄美群島振興開発審議会で報告された。同基金が、奄振法改正後、第5期中期目標・計画に掲げた目標を達成し、さらなる経営改善を進めるために、金融分野の有識者による検討を行い、経営改善に関する方向性を取りまとめることを目的に今年5月、同省が事務局となって検討会(座長・㈱日本経済研究所取締役)を設置。3回にわたって協議が行われた。

 方向性では、コンサル業務の在り方として▽有償のコンサルが可能となるよう、コンサル能力の向上を図るべき▽事業者への経営指導にあたっては、関係機関との連携・外部ソースの活用が鍵となる▽金融以外も含めた群島内の情報が入りやすい体制づくり、職員の暗黙知の形式知化(言語化・図式化など)も重要―を示した。

 有償について具体的には、「これまで対価をとらずに行っていた取引先に対する経営相談等のコンサルをいきなり収益の柱に掲げて有償とすることは、事業者との関係も踏まえると困難」とした上で、まずは「基金が有する奄美群島ならではのネットワークや知見を生かした情報等を金融機関や行政に提供して対価を得ることが考えられる」と提案。国や地元自治体から基金に対して、各業種の現状分析や今後の見通しなどについての調査を発注することも考えられるとしている。経営が厳しい事業者や事業性に乏しいNPOなどへの経営指導には、「リスク管理債権の削減という観点からも意義がある」と指摘する。