鹿児島2区 5人による混戦へ

保守分裂、野党も3党擁立
自民公認は保岡氏

 衆議院が9日解散され、15日公示、27日投開票に向け事実上の選挙戦に突入した。首相就任から8日後の解散と26日後の衆院選はいずれも戦後最短で、異例の短期決戦となる。奄美群島が含まれる鹿児島2区は無所属だが自民会派に所属し活動してきた前職と、自民公認候補に決まった比例九州前職による保守分裂の争いを軸に野党も3党が候補者を擁立、5人による混戦となりそう。

 鹿児島2区で立候補を予定しているのは、同区選出で無所属前職の三反園訓氏(66)、比例九州前職の保岡宏武氏(51)、共産新人の松崎真琴氏(66)、日本維新の会新人の辻健太郎氏(38)、参政新人の矢竹ゆかり氏(61)。前回、自民前職らを破り初当選を果たした三反園氏は2回目の当選、保岡氏は選挙区では初となる当選で2期目、同区からの立候補は2度目となる松崎氏、同区では初挑戦の辻氏、初挑戦の矢竹氏は初当選を目指す。

 解散を受けて三反園氏は「奄美群島のみなさんの生活に寄り添い、懸命に活動しさまざまな思いを聞いて国会で質問し提案してきた。その結果が奄振法の延長や沖縄との交流促進策(農林水産物などの輸送支援や運賃軽減化)などの政策実現につながった」と1期目の実績を挙げた上で、選挙戦では「奄美群島のみなさんの生活は私に任せてほしいということを第一に訴えていく。主権は国民のみなさんであり、たくさんの声を聞きその思いを国政に反映していく」と語った。

 保岡氏は自民公認について「選挙区のみなさんには大変な心配を掛けたが、心から感謝したい」と語った上で、選挙戦に向けては「公認を受けたものの追う立場であることには変わりはない。これまで以上に気を引き締めて全身全霊で残された17日間を走り切る覚悟。この3年間、民間主導の地方創生を訴えてきた。2期目はなかでも島の農林水産業や観光業の所得倍増に力点を置き、民間の稼ぐ力を中心とする地方創生に取り組む」と述べた。

 松崎氏は「今回の選挙は自民党議員の裏金、統一教会との癒着といった問題にふたをし、物価高騰や能登半島支援などを議論しないまま党利党略、国民不在の選挙であり、怒りの受け皿として支持を集めたい。国民のみなさんの命と暮らしを守る政治に全力をあげる」と述べ、掲げる政策では「奄美群島の各島で自衛隊と米軍による日米共同訓練が進められるなど戦争する国づくりを止めなければならない。基地化を防ぎ、平和を願う一票を託してほしい」と語った。

 辻氏は開設済みだった奄美市の事務所に加え、2区最大の票田である鹿児島市の谷山地区にも事務所を開設。先月末から選挙区内での活動を本格化しており、奄美群島では与論島にも入っている。SNSを駆使しての政策メッセージも積極的に発信、生まれ古里の奄美について「日本の未来を奄美から創る」として、AIを用いた行政システムの効率化、ドローンネットワークの構築など世界に必須となる社会インフラの奄美群島への導入を掲げている。

 大分3区からの立候補を予定していた矢竹氏は、選挙区を鹿児島2区に変更しての挑戦。10日午後に県庁で記者会見を開き、正式に立候補を表明。政策などを発表する。