【準決勝・樟南―神村学園】5回表神村1死満塁、4番・窪田(伊仙中卒)が左前打を放ち2点目=平和リース球場
【鹿児島】第155回九州地区高校野球大会鹿児島県予選第15日は10日、鹿児島市の平和リース球場で準決勝2試合があった。
鹿児島実は国分中央に3―1で競り勝ち、2季連続58回目の九州大会(大分・10月26日―11月1日)出場を決めた。神村学園も終盤の樟南の追い上げを3―2で振り切り、3季連続26回目の九州大会を勝ち取った。
11日は休養日。最終日は12日、午前10時から同球場で鹿実―神村の決勝戦がある。
【準決勝・国分中央―鹿児島実】9回裏、ピンチの場面でエース大野(中央)の元に集まる鹿実ナイン=平和リース球場
大野稼頭央(現ソフトバンク)、幸乃進(現青森大)。大島のエースとして活躍した兄たちと同じ勝負師の遺伝子は、三男・純之介も間違いなく受け継いでいた。毎回のように訪れたピンチをことごとくしのぎ、完投勝利で決勝進出に貢献した。
得点は一回と六回の好機に挙げた3点のみ。二回以降は毎回走者が出て、再三得点圏に背負う苦しい投球が続いた。
稼頭央も幸乃進も最速140㌔の直球を持っていた。プロ入りした稼頭央はいざとなれば三振をとれるボールがあった。純之介の最速は130㌔を超える程度だが、抜群の野球センスで相手の狙いを読み、「三振ではなく打たせてとる」のが純之介の最大の持ち味だ。
圧巻だったのは四回裏一死一、三塁の場面。初めて三塁に走者を背負って、5番・豊田、6番・稲田と相手の要注意打者を内角の力のある直球で追い込み、外のチェンジアップで連続三振に仕留めた。「自分が一番自信のあるボール」と胸を張った。
中盤以降は疲れもあり、味方の援護もなかなかない中で力投が続く。この秋の新チームは「鹿実史上最弱」と宮下正一監督から厳しい言葉を投げかけられた。今夏をベンチ入り20人をオール3年生で臨んだため、試合経験が極端に少ない。「だからこそ、こういう厳しい試合を経験することが自分たちの成長につながる」と純之介。七回に1点は失ったが、丁寧に低め、コースを厳しく突く投球が最後まで途切れなかった。
「最弱」だからこそ「こういう厳しい試合は『最強』に成長するための最高の舞台」と宮下監督。純之介は昨秋の県大会3回戦の鶴丸戦で敗戦投手になった苦い思い出がある。「自分がチームを引っ張ってセンバツに導きたい」思いを胸に秘める。その「第一関門」を見事突破した。(政純一郎)