2列に並んだ演者が飾りを付けた棒で激しく打ち合い、飾りが舞う諸鈍シバヤの演目スクテングヮ(11日、瀬戸内町加計呂麻の大屯神社)
諸鈍小中学校の児童生徒たちが披露した「カマ踊り」
最後の演目「高き山」で締めくくられた諸鈍シバヤ
クガツクンチ(旧暦の9月9日)の11日、瀬戸内町加計呂麻島・諸鈍集落の大屯(おおちょん)神社で国指定の重要無形民俗文化財「諸鈍シバヤ」があった。紙のお面をつけた集落の男性と諸鈍小中学校の児童生徒ら25人がコミカルな動きの劇を繰り広げ、島内外から訪れた約300人の観衆を楽しませた。
諸鈍シバヤは、源平の戦いに敗れ落ち延びてきた平資盛(たいらのすけもり)一行が、土地の人々と交流を深めるために伝えたのが始まりと言われており、1976年には国の重要無形民俗文化財に指定された。
第1部は、演者らがホラ貝やハト(指笛)を鳴らし踊りながらの「イッソオ(楽屋入り)」で幕開け。「スクテングヮ」では、2列に並んだ演者が飾りを付けた棒で激しく打ち合い、飾りが舞う姿が観客を魅了。諸鈍小中の児童生徒たちも「キンコウ節」と鎌を持って踊る「カマ踊り」などに参加し、会場を盛り上げた。
余興を挟んだ後にあった第2部は、イノシシとの格闘を模した「シシキリ」で開始。人形劇「タマティユ(玉露)」など、多彩な演目とユーモラスな動作が会場を笑いに包み、「高き山」で締めくくられた。
保存会の吉川久也会長(53)は「国の指定文化財だが、自分たちにとっては欠かせない集落の一行事。今年も無事開催できてほっとしている。子どもたちもこの日に向けて練習に取り組んできており、踊ることを楽しみにしている大人よりも熱心だ」と笑顔で語った。
東京から来島した男性(49)は「インターネットの祭り情報でこの行事を知って今回が初来島。ほかの祭りも見に行っているが、紙のお面をつけた劇が面白い。また、来てみたい」と話した。