高齢者の水分補給法について「飲水学」の観点から語る谷口英喜医師(19日、アマホームPLAZA)
医薬品の正しい使い方と薬剤師の役割を広く知ってもらおうと、奄美薬剤師会(岡村芳和会長)は19日、「第17回薬と健康の市民講座」を奄美市名瀬のアマホームPLAZA(市民交流センター)で開いた。熱中症を防ぐための「飲水学」を提唱している谷口英喜医師(済生会横浜市東部病院患者支援センター長)が講演、「高齢者は、薬のように時間と量を決めた水分補給を」と訴えた。薬剤師による服薬相談もあり約120人が参加した。
講座は、厚生労働省や日本薬剤師会が実施する「薬と健康の週間」(10月17~23日)に伴い毎年実施。今回は、岡村会長の「熱中症による救急搬送ゼロを目指す」との思いが込められた。
谷口医師は、高齢者が熱中症になりやすい理由として▽水分の約44%が蓄えられる筋肉量が少ない▽口喝中枢が衰え、のどの渇きを感じにくい▽食事量の減少―を挙げた。その上で、「高齢者の水分補給は、薬を飲む感覚で、量と時間を決めて」と持論を唱えた。
「脱水症」についても言及。体が水と電解質(塩分など)を失うと、脳・小腸・筋肉が機能しなくなるといい、腸管への血流が悪くなると「食欲不振」に陥るという。これは、脱水症のサインで、熱中症は脱水症状から始まると説明した。
WHO(世界保健機関)が推奨する「6オンス(180㍉㍑)8回法」をアレンジした効果的な水分補給法なども解説。体重60㌔の成人を例に、1日の必要量2400㍉㍑の半分にあたる1200㍉㍑を8回に分けて取る方法を教えた。
脱水時には、経口補水液での水分補給が有効であることも説明。谷口医師は、「ブドウ糖が2%含まれることで小腸での吸収スピードが高い」。経口補水療法では、「できるだけ早く約500㍉㍑を飲むこと」が重要などと話した。
70代女性は、「この夏、近所の80代夫婦が熱中症で亡くなった。他人事ではない。非常に分かりやすい具体的な内容だった。時間を決めて水分補給する方法を早速実践したい」と話した。