衆院選の投票を呼び掛ける県選管のポスター
県選挙管理委員会は21日に衆院選の期日前投票(小選挙区)中間状況を発表したが、投票率の県内最高は宇検村で、7月の知事選も同様の結果となった。同村は当日の投票を含めた投票率で知事選では奄美群島の市町村で唯一80%を超えた。投票率の高さ、公への関心からの地域性を挙げる見方がある。
今回の衆院選で5日間(16~20日)の期日前投票率は17・18%の宇検村が県内トップ。次いで与論町12・87%、東串良町12・01%、和泊町11・84%などとなり、宇検村の高さが際立っている。3年前の前回(15・72%)より伸びており、前回の最終的な投票率は83・75%。2区の投票率で80%台は同村だけで、ちなみに奄美市は65・19%、大票田の谷山地区がある鹿児島市2区は51・49%となった。
7月7日が投開票日だった知事選でも同村の期日前投票率は県内最高が続き、期日前最終は52・94%(前回比6・88ポイント増)、当日を含む最終的な投票率は82・85%(同0・78ポイント増)となり、奄美の市町村で80%を超えたのは同村のみ。群島計の54・03%を大きく上回った。
村選管によると、村民に対する投票の呼び掛けは公示日あるいは告示日に村明るい選挙推進協議会の活動として実施。広報車で集落内を巡回し、「期日前投票ができる期日、投票当日は棄権しないように」という呼び掛けを行っている。村としての活動は「この1回だけ」という。
長年村行政に携わった男性(74)=湯湾=は「宇検村は他の市町村に比べて納税率が高く、健診などの受診率も高い。公への関心、住民として義務と捉える地域性がある」とした上で、選挙の投票率については「現在のような期日前投票制度がない頃、当日の投票において各投票所で事務作業に携わる区長が集落住民の入場者(投票者)をチェックし、他の集落との競争意識からまだ入場していない人がいると、投票を呼び掛けていた。これにより若い人も投票に行こうという気持ちが育まれた」と指摘。こうした選挙への意識が現在も残り「宇検村の投票率が高いのではないか。必ず投票に行く親の姿を見てきた子どもたちも、村から離れ都会に出ても『選挙は行くのが当たり前』と考えているということを聞く」と説明する。
「投票率が100%近いなど90%を超えるのは普通だっただけに、現在の80%台は低いような気がする」(男性)
村民にとって国政選挙や知事選などよりも候補者が、より身近なのは村長選や村議選。2023年1月にあった村長選は15年以来8年ぶりの無投票、今年8月にあった村議選は3回連続無投票と村民は投票の機会がない状況が続いている。