フラメンコのステージにシマ唄響く

ライブ写真(提供写真・近藤佳奈さん撮影)

奄美市出身の福山奈穂美さん、ソロライブ

 フラメンコダンサ―福山奈穂美さん(53)はこのほど、ソロライブを東京のタブラオ、カサアルティスタで開催した。フラメンコの中に、シマ唄を忍ばせ披露、詰めかけた来場者らは、聴きなれないながらも哀愁あるシマ唄に聴き入っていた。

 フラメンコはスペイン語で歌われるカンテと、ギターと踊りなどで構成される。

 福山さんは奄美市出身。シマ唄も好きでたしなむ。2018年、同市名瀬でフラメンコライブを開催、シマ唄でフラメンコを踊り、観客を沸かせた。今回はその時に歌い手として来島した有田圭輔さん(55)がカンテを担当。奄美で覚えたシマ唄「行きゅんにゃ加那」を披露し、東京の観客を魅了した。

 福山さんは「有田さんは島でのライブの折に『行きゅんにゃ加那』を島の女の子(楠田莉子さん)と、一夜漬けで覚えてくれた。そのライブで、会場中が一番喜んだ」という話を盛り込みながらシマ唄を紹介した。

 有田さんが楽屋で口ずさんでいるのを耳にし、島でのライブのことを思い出して「やりたいなあ」と相談、急きょ実現した。

 有田さんはシマ唄について「民謡は好きなので、よく聴くのですが、奄美のシマ唄は難しい。ファルセータを使うので繊細、かっこいいと思います。朝花などいろいろ聴いていますよ。カンテとは共通項はあるような気がして、カンテも民謡なんだなと改めて感じます。シマ唄、意味は分からなくても、日本のものという感じがし、安心感があります。沖縄の歌をサンシン弾きながら歌うこともあります。練習ではファルセータが出たんですが、本番は力んでうまく出なかった。シマ唄もカンテと同じ、生活の中の苦しみを歌っているものが多く、圧力があると思います」

 ギターでシマ唄を伴奏した逸見豪さん(51)は「シマ唄は初めて聴きました。伴奏という意味では、フラメンコの伴奏をしているのと、似ているものがありますね。歌とギター、歌と三味線、歌い手の呼吸をつかむとか、とても似ています。人によって歌い方が変わるので、リズムの取り方が難しかった。歌の意味が分からなかったけれど伴奏は楽しかった」と笑顔で話した。

 来場者らは、初めて耳にするシマ唄に熱心に聴き入っていた。シマ唄も取り入れたフラメンコライブは大盛況のうちに幕を閉じた。

 福山さんは「これからも、このようなライブを開催し広げていきたい」と話した。