路線バス新規購入を承認した徳之島地域公共交通活性化協議会=25日、伊仙町中央公民館
【徳之島】2024年度第3回徳之島地域公共交通活性化協議会(会長・大久保明伊仙町長)が25日、伊仙町中央公民館であった。「まちづくり・観光と連動した持続可能な運送サービス提供」などを目指す同地域公共交通活性化計画(5年間)策定へ向けた骨子案を確認。現行路線バス運行会社に運営委託する車両1台の新規購入を承認した。
6月に続き4か月ぶりの開催。徳之島3町の首長(代理含む)や教育長、議会議長、九州運輸局鹿児島運輸支局、県総合政策部交通政策課、徳之島総合陸運㈱など関係機関・団体代表の委員のうち21人が出席。大久保会長は「人口減少社会の一方、世界自然遺産登録でいずれは多くの観光客が来ると思う。島の将来への公共交通計画は最大の課題」と継続・振興に改めて協力を求めた。
地域公共交通計画は、地域交通法の規定及び地域公共交通確保維持改善事業費補助金交付(国交省)など申請への前提条件。同計画策定をプロポーザル方式で鹿児島銀行グループの㈱九州経済研究所(本社・鹿児島市)を選定し業務委託している。
同研究所の米倉康助研究主査が計画策定に向けた路線バスやデマンドバス(相乗りバス)利用者アンケートの実施状況を説明。課題に①人口減少と高齢化の進行②利用者の少ない路線③利用促進のためのモビリティ・マネジメント(MM)―を挙げ、基本方針には①将来につなぐ持続可能な公共交通の構築②新たなモビリティやサービスを活用した公共交通の展開③公共交通のイメージを変えるMMの推進―など骨格案を示した。
質疑で委員らは「現状に沿って目指すべき将来像の明確化。IoTやICT(情報通信技術)関連技術を含め一歩進んだ取り組み」を求めた。また、伊仙町・長寿子宝社の運行例など「3町のコミュニティーバスも含めて国庫支援の活用ができる計画」などの要望もあった。米倉研究員は「DX(デジタルトランスフォーメーション)なども盛り込んで(計画案策定を)推進する」と述べ、国庫補助に関し運輸局側は「使いやすいよう見直し対象となっており、検討の余地は十分にあると思う」との見解を示した。
路線バス車両の新規購入は、厳しい経営の上に故障・不具合が相次いでいる徳之島総合陸運㈱の運行26年以上の老朽車両の更新、安全運行の確保が目的。車種はマイクロバスGXスーパーロングハイルーフ型の14人(客席13人)乗り。3町の購入負担金は均等割・実績割による計563万4848円。同社は利用率の少ない第2号線(大船住宅~花徳・平土野~与名間)に配備する予定。
質疑では、登下校の高校生ら若い世代の利用促進など自助努力の要望もあった。残る4車両全てについても運行開始20年以上に老朽化していることから、同社は「毎年1台の更新(補助)をお願いしたい」と要望した。