鹿児島2区 三反園氏が再選

5人よる争いとなった混戦を制し再選を決め、万歳する三反園氏(27日午後8時10分頃、鹿児島市谷山中央の選挙事務所)

 

「草の根」徹底、行動力で集票
投票率前回下回る54・56% 5人による混戦制す

 衆院選は27日投票が行われ、即日開票の結果、奄美群島を含む鹿児島2区は無所属前職で元知事の三反園訓氏(66)が5人による争いとなった混戦を抜け出し、再選を果たした。無所属ながら自民党会派で活動し、自民前職(比例九州)との保守分裂戦となったが、知事を務めた知名度と日頃から選挙区内での活動を徹底する「草の根」が奏功、他を圧倒する行動力が集票につながった。2区の投票率は54・56%で、前回衆院選(2021年10月)の58・58%を4・02ポイント下回った。

 県内4選挙区では、1区が3人、2区が最多の5人、3区と4区が2人ずつの計12人が立候補。党派別は自民党が前職4人(うち2人は比例選出)。立憲民主党が前職2人。参政党2人、日本維新の会、共産党、社民党が各1人でいずれも新人。無所属は前職1人。

 2区に立候補したのは、当選した三反園氏のほか、届け出順で、参政新人で生命保険代理店個人事業主の矢竹ゆかり氏(61)、共産新人で元県議の松崎真琴氏(66)、維新新人でコンサルティング企業経営の辻健太郎氏(38)、自民前職(比例九州)で党2区支部長の保岡宏武氏(51)。事実上、三反園氏と保岡氏の一騎打ちとなった。

 指宿市出身の三反園氏は南薩を地盤としながら、大票田の鹿児島市谷山地区では「政治とカネ」で自民に反発する無党派層取り込みや自民支持層にも食い込み、奄美では頻繁に訪問を繰り返しての「第二の故郷」をアピールし浸透。また、公明党が2区のみ自民公認候補を推薦しなかったことから、「比例区は公明党」を選挙ポスターに刷り込み、公明支持層に選挙協力を働き掛けた。さらに旧徳田後援会の支持者や病院関係者らの支援も得た。

 奄美での演説で三反園氏は「この3年間国民が主役という思いで活動してきた。いろんな方とお会いし、その人の立場に立ってさまざまな対応を行ってきた」と強調し、「これからの10年間が大事。奄美の未来をどうするか。経験と実績のある私に任せてほしい」と力強く訴えた。公約では、▽便利で快適な街づくり▽魅力輝く奄美群島へ▽南薩地域の経済活性化―など掲げた。

 「明るい未来へ鹿児島から、地方創生」をスローガンにした保岡氏だが、自民公認の遅れや政権与党の公明の推薦が得られないなど影響。両党の支持層をまとめきれず、無党派層の多い谷山地区では自民への反発もあり支持が広がらなかった。地盤とした奄美も後援会づくりが進まず、活動量や浸透力で三反園氏に及ばなかったのが期待の得票に結び付かない要因となった。演説ではあえて「裏金問題」という言葉を使い、「党刷新本部でお金のかからない政治を議論してきた。志ある若手議員が一緒になって政治改革を実現したい」と意欲を見せていたが、かなわなかった。

 テクノロジー(科学技術)を活用して「日本の未来を鹿児島(奄美)から創る」を掲げた維新の辻氏、信頼できる政治や暮らし優先、平和外交を掲げた共産の松崎氏、積極財政と減税による経済成長や食料危機への備え強化などを掲げた参政の矢竹氏は及ばなかった。