1日から産科休診となる名瀬徳洲会病院
奄美市名瀬朝日町の名瀬徳洲会病院(満元洋二郎院長、病床数308床)の産科は1日から休診する。2人いる産婦人科医の1人が、同グループ内の病院へ異動することに伴うもので、休診期間は「11月1日から当面の間」。具体的な再開の時期は決まっておらず、同病院で年間約100件行われてきた分娩(ぶんべん)は、県立大島病院に移行することになった。
同病院は1997年12月1日開設され、産婦人科は開院間もなく設けられた。先月までは、医師2人体制で年間約100件の分娩を行い、奄美群島内から受診に訪れる患者も多かった。
同病院の担当者は休診について、「医師1人体制では、母子の安全を100%確保することは難しく、苦渋の決断」「医師の確保を図り、再開を検討したい」と説明した。一方、医療関係者からは「不採算部門の切り捨て」「再開のハードルは高い」などとする意見も聞かれた。
奄美群島内の徳洲会グループでは現在、徳之島、沖永良部島2病院で分娩が可能。また、与論島からは産婦人科新設の要望があり、検討を重ねているという。
奄美大島島内で唯一の分娩取り扱い施設となった県立大島病院の分娩数は年間約260件。同病院に勤務経験のある相星壮吾・県大島支庁保健福祉環境部長(小児科医)によると、過去には約700件の実績があり、対応に問題はないという。
県立大島病院はホームページ上で、「奄美大島の分娩取り扱い施設が当院のみとなり、不安を感じていると思う。医学的にハイリスクな妊婦が増え、診療に時間がかかる傾向にある。来院者の増加で待ち時間がさらに長くなることも予想される」と今後の見通しを述べている。
病院関係者は、「転院患者は徐々に増えてきている。混乱はない。周産期医療を守るため、受け入れ態勢を整え、最大限尽力していく」と話している。