障がい者の地域移行支援の在り方を学んだ奄美地区自立支援協議会・研修会(10月31日、龍郷町りゅうがく館)
奄美地区自立支援協議会(長井和揮会長=同市保健福祉部福祉政策課長)は10月31日、龍郷町りゅうがく館で、障がい者が地域で仕事に就き、自立して生活を営むことができる支援体制の整備や、中核となる基幹相談支援センターの位置付けなどを学ぶ研修会を実施した。厚生労働省の相談支援専門官が、報酬改定の狙いや、障がい者の意思を反映する「個別支援会議」の在り方などを講義した。福祉サービス事業者、自治体の実務担当者など88人が出席した。
障がい者が安心して暮らせる「地域共生社会の構築」を目的とした「改正障害者総合支援法」は4月に施行。内容には、地域生活への移行や就労の支援強化が盛り込まれている。
厚労省の小川陽相談支援専門官が▽法改正の目的▽報酬改定の概要▽障害(児)福祉計画の基本方針▽協議会の機能と活用―などについて行政説明した。
厚労省の調査では、障がい者は約1160万人(人口の約9・2%)。障がい福祉サービスの予算は17年間で約4倍に増加し、約2兆円となっている。
改正法では「障がい者自身が希望する生活の実現」を目的に、就労ニーズに対する支援、雇用の質の向上などを各機関に求めている。地域移行・自立生活・地域定着を組み合わせた支援は、事業所単体ではなく、関係機関で組織した自立支援協議会によるネットワークと連携して行う。
報酬改定では、支援法改正の趣旨を盛り込み、「地域移行促進加算」や「同支援体制加算」などを新設した。障がい者の意思決定支援では、相談支援専門員やサービス管理責任者が行う担当者会議や個別支援会議への当事者の参加を求めている。
奄美市の相談支援専門員の男性(51)は「法改正以前から6か月に1回、個別支援計画に基づくモニタリング会議に本人に同席してもらっている。利用者の意向を聞き、計画を練り直すこともある」と話した。
男性が勤務する事業所では6月から、3事業所協働の他機関連携体制を組んでおり、「相談員が一人で課題を抱え込むことがなくなり、ネットワークで課題を共有できる。(国が求める)機能強化につながっている」と話した。