戦闘続くガザ、奄美も連帯

パレスチナ自治区ガザの実態を説明し、平和の凧揚げへの参加を呼び掛ける堀部碧医師

9日、平和の象徴・凧揚げアクション計画
奪われる尊厳「同じ人間、思い寄せて」

昨年10月7日、イスラエルとイスラム主義組織ハマスの戦闘が始まってから1年余り。戦闘が続くパレスチナ自治区ガザでは病院など民間施設も空爆を受けるなど殺りくが繰り返されている。学生派遣団の一人としてガザを訪ねたことがある医師の呼び掛けで9日、「パレスチナ・ガザ連帯 凧(たこ)揚げアクション」が奄美で計画されてる。空を自由に飛ぶ凧はガザの人々にとって平和の象徴。人としての尊厳が奪われ続けられている中、「同じ人間。奄美からも思いを寄せていただけたら」と参加を願う。

パレスチナ連帯全国一斉凧揚げアクションの一環として、奄美でパレスチナ・ガザと連帯する市民有志の会が主催。同会代表の堀部碧(みどり)さん(38)は、今年4月から奄美中央病院に勤務する内科医。入学した京都大学総合人間学部で、「パレスチナ問題とオリエンタリズム」という講義を受けたことが転換点になった。

在学中にはパレスチナのヨルダン川西岸地区で開催された学習ツアーに参加することも。学びをより深めたいと2011年、英国ブラッドフォード大学平和学科修士課程で紛争解決学を専攻。ガザへの学生派遣団の一人として、翌年3月末に初めてガザを訪ねたという。派遣団はガザ地区内の大学を訪れてワークショップや交流などを行った。堀部さんは「私たち外から来た人間に求められているのはガザの人たちに知識や生活に必要なものを『与える』ことではなく、ガザの人たちの『声』を受け取って世界に広めることなのだと感じた」という。

パレスチナ問題について「植民地主義」と捉える堀部さん。パレスチナの地にはユダヤ教を信じるユダヤ人の王国があったが、ローマ帝国に滅ばされたという歴史がある。世界に散ったユダヤ人の中で、かつて王国があったパレスチナの地に戻ろう、国をつくろうという運動(「シオニズム運動」)も起きた。「日本で言えばアイヌ(先住民族)の人々の歴史と重なる」として、今回の紛争について「ガザの人々の尊厳を奪い続けてきたイスラエルに対し、国際社会が何の有効な対策を講じることなく、ガザの人たちの苦しみを忘却し、むしろ加担し続けたことに対する結果」と指摘する。

ガザへの空爆は軍事施設だけでなく病院など民間施設に及んでいることが日本でも映像などを通し報道されている。堀部さんは「攻撃により命を奪われた子どもたちの数は1万人以上に及ぶ。ガザの実態に目を向け、人々に思いをはせ連帯していきたい。今回のアクションには、08年12月のイスラエルのパレスチナへの攻撃をきっかけに、パレスチナ支援を行おうと考えた有志により立ち上げられた北海道パレスチナ医療奉仕団(非営利・任意団体)が関わり、全国30か所近くで開催される。奄美でも多くの皆さんの参加によって行動できたら」と話す。

9日は奄美市名瀬の名瀬港マリンタウン緑地公園で予定しており、午後1時に凧揚げを準備、2時から開始する。小雨決行。11年の東日本大震災の際、ガザの人々は地震や津波で家や家族、古里を失った東北の人々と連帯しようと凧揚げを行ったという。「パレスチナ・ガザ連帯 凧揚げアクション?AMAMI」問い合わせは電話090・7689・3700(堀部さん)へ。