徳之島地区営農技術・経営研修

サトウキビ栽培の先駆者(右側)と語る会も=5日、JAあまみ徳之島事業本部会館(徳之島)

メーカー側による自動操舵などスマート農業実演会もあった(伊仙町)

スマート農業に関心
キビ栽培先駆者と語る会も

 【徳之島】徳之島地区の2024年度営農技術・経営研修会(徳之島地域総合営農推進本部など主催)が5日、JAあまみ徳之島事業本部農協会館であった。島内の担い手農家や関係機関・団体代表など約100人が参加。農機の自動操舵システムなどスマート農業の最前線を学び、「さとうきび栽培の先覚者と語る会」でも研さん。現地実演研修でも交流した。

 徳之島ダムの水利用栽培技術の活用、高収益作物の導入促進による農業技術の改善、農地の有効活用―などを目的に同営農推進本部、同島農業改良普及事業協議会、同島さとうきび生産対策本部の3団体が主催。今年は、サトウキビ500㌧以上の生産者組織「新ジャンプ会」と共催の秋季研修会も併催した。

 冒頭あいさつで同営農推進本部長(代理・高城博也徳之島町農林水産課長)は、労働力不足下のスマート農業による省力化、将来の農地利用の仕方を描く地域計画の推進。新ジャンプ会の内博行会長は、化学肥料の高騰や人手不足が続く中でのキビ生産量の維持、畜産と共存共栄した牛糞(堆肥)の活用、製糖工場の機器や輸送トラックの更新対策―も課題に挙げ、持続可能な対策作りに知恵を寄せ合おうと要望した。

 スマート農業研修では大手農機メーカーの㈱クボタ(本社・大阪市)と、精密農業機器分野にも参入している㈱トプコンポジショニングジャパン(本社・東京都板橋区)の両担当者が、GPS自動走行システムによる超省力化や大規模生産の実現例などを解説した。

 「さとうきび栽培の先覚者と語る会」のパネリストには▽㈱仲農産(天城町西阿木名、キビ約20㌶・バレイョ約3㌶ほか農作業受託)の仲公男代表(68)▽㈲大竹興産(伊仙町阿三、キビ約36㌶・黒糖製造など)の大竹勝人代表(61)が登壇。機械化導入や規模拡大の経緯などを語った。

 大竹さんは、規模拡大に逆行した人手不足対策で「製糖期は人手が全く足りず(株出し栽培など)管理作業が手薄になるため、中耕・培土作業は省略している。雑草を抑えて施肥も梅雨前までに終え今期も単収増に期待。経営面積を40㌶まで規模拡大したい」。農機はリースで導入、規模拡大の農地集積は「『借りてほしい』と自然に集まり増えた。まず信頼を得ることが大事」

 仲さんのハーベスターなど農機導入の手法は「中古を安価で求めて修理するのが趣味。新品であっても自分が使いやすいように改造する」。規模拡大には「資金繰りは不可欠だが、返済目標もやる気につながる」。規模拡大は「土地は農家の大切な財産。地域活動でも信頼を得て契約面もきちっとすることで集積につながる」

 「キビ生産者たちへの思い」では大竹さんは「昔からの基本は大事にしつつも壊せるとこは壊して簡素化できないか常に考え工夫を」。仲さんは「地域を大事にすることが自分の成長にもつながる」とアドバイスした。

 続いて県徳之島事務所農業普及課側が、地域が一体となって考える農業の「地域計画」策定の取り組みを解説。午後は県農業開発総合センター徳之島支場(伊仙町面縄)に移動。ビレットプランター(植え付け気)やけん型管理機を装着したトラクターの自動操舵実演会もあった。