与論町 大雨で浸水、片づけに追われる

水に浸かった商品が山積みにされたコンテナとスーパートップの志摩晴文代表(10日午後0時10分頃、与論町茶花)

浸水した家からぬれた家財道具をトラックに積み込む住民ら(10日午後1時30分ごろ、与論町東区)

民家の壁に残る浸水の跡を指し、大雨の状況を語ってくれた消防団員の向井輝喜さん(10日午後0時50分ごろ、与論町茶花)

「今まで経験したことがない」

 【沖永良部】記録的な大雨で浸水被害を受けた与論町では10日、被害の大きかった同町茶花の銀座通り商店街や東区の住民らが片付けに追われていた。住宅の壁には1㍍ほどの高さまで水が襲った跡が残り、住民らは「今まで経験したことがない」と口々に語った。

 東区の小田豊重さん(87)方は床上浸水した。ボランティアの手を借りながら使えなくなった家財道具を運び出していた小田さんの家族は「家の中がプールのようになっていた。床から1㍍くらい水位があって、畳や家財が浮いている状態だった。軽トラックでごみを何度も捨てに行っているが、きりがない。この家に住めるかどうかも分からない」と肩を落とした。

 茶花にあるスーパートップ茶花本店は、店舗が浸水。従業員らが店内の清掃や水に浸かった商品の撤去に汗を流していた。志摩晴文代表(69)は「8日夜から9日午前3時頃が最も雨が激しかった。夜中だったので何もすることができなかった。9日朝に店に来てみたら、中がめちゃくちゃになっていた」と話した。店外に置いてあるコンテナには、水に浸かった商品が山積みになっていた。

 茶花の知人宅の清掃を手伝っていた消防団員の向井輝喜さん(39)と市由斗さん(22)は、雨が激しくなってきた8日夜から、排水作業や避難する住民の誘導にあたっていたという。向井さんは「水と一緒に洗濯機やいす、空き瓶などいろいろなものが流れてきて危なかった。一番ひどい時はコンテナが浮いて道路の方へ流されていた」。市さんは「水の流れがすごかった。この周辺は胸の高さぐらいまで水があった」と振り返る。

 9日午前3時頃、避難が遅れた住民の救助要請が入った。2人は、役場にボートを出してもらうよう連絡した後、駆け付けた警察官と一緒に住民が住むアパートへ歩いて向かった。向井さんは「濁流に巻き込まれそうだったので、遠回りしないといけなかった。アパートの近くまで来ると、要救助者が自力で歩いて出てきた。けががなくて安心した」と語った。