「大雨・雷・波浪」注意報発表下で決行後、レース中止となったOWS徳之島大会=10日、徳之島町山漁港
【徳之島】徳之島町山(さん)漁港で行われる予定だった第3回オープンウォータースイミング徳之島大会(徳之島町主催)は、9日の「10㌔の部」が悪天候(大雨警報発表)で中止され、10日の「5㌔」「3㌔」の部は決行した。ところが両部のレース中の雷鳴で急きょ「レース中止」決断後、同漁港地上部に落雷するアクシデントが発生。「海面だったら大惨事だった可能性も。不幸中の幸いだった」と関係者を青ざめさせた。
同大会主管の実行委員会及び運営主体は県水泳連盟や相模原市水泳協会など。徳之島町が補助金(今年度425万円)を拠出し、会場設営や運営サポートにも職員を配置するなど人的にも協力。今回からは日本水泳連盟の認定大会となり、新たに日本選手権トライアル部も創設された。だが、町当局は町公式サイトには掲載してはいるが、町防災無線などを使った積極的なPRはなく、開催自体を知らない町民が多かった。
今大会へのエントリー数は、▽10㌔の部31人(うち日本選手権トライアル8人)▽5㌔の部38人(同6人)▽3㌔の部28人▽1㌔の部30人―の計127人。波浪注意報下、コースは静穏度の高い同漁港泊地内に急きょ変更され、岸壁や防波堤に沿って四つのブイを周回する500㍍のコースを設定した。
しかし、9日午前9時スタート予定だった「10㌔」は、大雨警報の発表もあり天候回復待ちの末に「中止」を余儀なくされた。そして1㌔を含む10日の3部門は、「大雨・雷・波浪」注意報発表下での決行を決定。消防士や沖縄県から応援のライブセーバー計15人が水上バイクなどで厳重警戒する中、午前9時に「5㌔」、10分後に「3㌔」の部の競技がスタートした。
関係者の話を総合すると、厚い雲が垂れ込めたまま風が強まり、雷鳴が聞こえ始めたのは午前9時40分頃以降のこと。実行委側は「レースの中止」を判断して発表し、速やかに水中から上がり地上への避難を指示したという。
そして同10時30分頃、泊地(レース場)の東側の旧桟橋方向わずか数10㍍の地上部に、激しい閃光(せんこう)と轟音(ごうおん)とともに落雷が発生した。住民や見物客たちは「白煙が立ち上るのが見えた」、「まるで自分の頭上から落ちたような衝撃だった」と証言。当時、海上にはまだ避難中の選手の一部やライフセーバーらスタッフ含め約30人がいたという。
気象の専門家は「雷注意報下でのスイムレースは非常に危険。雷が水中に落ちると、広範囲に電流が流れて感電し、心臓や呼吸が停止する恐れがある」と指摘。今回の状況にライフセーバーらも「安全監視で海上にとどまっていた。身近での落雷体験はもちろん初めて。レース会場の海面や係留中の漁船へ落ちなかったのが不幸中の幸いだった」。地元住民からは「前回も悪天候で中断。大会自体のイメージを落とさないためにも、開催時期を見直す必要もある」と話した。