大学の研究者らを前にプレゼンする川崎良徳さん(右から2人目)(16日、アマホームPLAZA)
東京大学大気海洋研究所主催のシンポジウム「奄美を探る:産学官民連携の実際」は16日、奄美市名瀬のアマホームPLAZAで2日目を開催、「〝協働〟研究の展開」をテーマに5氏が登壇し、パネルディスカッションが行われた。閉会後は、群島内の高校や大学院生らによるポスターセッション(図やグラフによるプレゼン・質疑応答)があり、シンポジウムで登壇した研究者らが訪れ、盛んにアドバイスや意見交換が行われた。
研究発表したのは、大島(化学部・生物部)、古仁屋、与論の3高校。若者ならでは視線で、「コーヒーの湯気はなぜ漂い続けるのか」「はく製づくり」「与論島の赤土流出と対策」などをテーマにした。
古仁屋高校2年の川崎良徳さん(16)は、幕末に薩摩藩が建造した「久慈白糖工場跡地」から出土したれんがの胎土分析について発表。
瀬戸内町埋蔵文化財センターでのインターンシップがきっかけとなり、7月に千葉・柏市であった東京大学「夏季集中サイエンスキャンプ」に参加、XRF装置を使った蛍光エックス線分析を行った。その結果、カリウムやカルシウムの含有量から、「薩摩藩は外国の技術者を招き現地でれんがを製造した」との仮説に至ったという。
川崎さんは「来年のサイエンスキャンプでは、同時期に奄美大島島内に作られた白糖工場3か所(龍郷町瀬留・奄美市名瀬金久・宇検村須古)のれんがとの比較を行いたい。仮説を実証したい」と意欲的に話した。
大気海洋研の横山祐典教授は「知識は、そしゃくして還元することで進化する。発表することで、さまざまな専門家からアドバイスを受け、気づきが生まれる。高校生同士の交流も刺激になる」と、さらなる研究の進化を求めた。