奄美大島2例目の帰島搬送

帰島搬送のため、70代女性を乗せて奄美空港に降りたメッシュ・サポートの医療用飛行機

離島の医療問題改善へ「活用を」
メッシュ・サポート

 沖縄県や奄美群島の離島地域で、医療用飛行機を使い患者の医療搬送を支援するNPO法人メッシュ・サポート(塚本裕樹理事長)は19日、沖縄本島の病院から奄美大島へ患者を戻す帰島搬送を行った。奄美大島への帰島搬送は2018年2月以来2例目で、塚本理事長は「助かるために他の離島に搬送され戻れない人も大勢いる。離島に問題解決のためにつくった体制。まずはシステムを知ってもらい、みなさんに支えていただくよう努めたい」と話した。

 メッシュ・サポートは、離島やへき地の医療格差の改善を目的に、2007年に運用を始めた。沖縄県、奄美群島全域を対象に、別の離島の入院患者を住所のある離島に戻す「帰島搬送」、民間機では移送が困難な患者などを運ぶ「準救急搬送」、「医師派遣」を手掛ける。

 これまでの搬送実績は計357件で、内訳は帰島搬送64件、準救急搬送46件、医師派遣247件。このうち奄美群島では与論、沖永良部を中心に、帰島搬送32件、準救急搬送40件を行ってきた。

 この日は、沖縄本島で入院していた市内在住の70代女性を奄美空港へと運んだ。女性は治療中で民間航空機での移動が難しく、緊急性がないためドクターヘリも稼働できず、同社に依頼が入った。

 医療用飛行機は約1時間10分のフライトを経て、午前11時10分頃に無事到着した。女性は待機していた介護タクシーで市内の病院へ届けた。

 同社は個人会員や企業の寄付に頼り運営している。これまで資金不足からたびたび中断することもあった。塚本理事長は自治体などに対し「遠くに運ばれた患者の中には何らかの理由で戻れず亡くなる人も多い。奄美群島の医療問題の改善方法の一つとして活用を検討していただきたい」と支援を呼び掛けている。