JAあまみ大島事業本部果樹部会員を対象に行われた現地検討会(19日、奄美市住用町新村の元井農園・津之輝栽培園)
JAあまみ大島事業本部果樹部会(大海昌平部会長)は19日、現地検討会を行った。間もなく収穫を迎える津之輝(つのかがやき)、2月が収穫期のタンカンの基本管理で手本となる島内生産農家の園地を巡り研修、技術レベルを高めて産地として同じ方向を目指す。
かんきつ生産者の部会員、市町村職員など関係者含めて約100人が参加。午前中は奄美市住用町の元井農園(津之輝)と同名瀬本茶地区の平井果樹園(タンカン)で。午後は大和村に移動し、福元地区で村果樹振興会の藤村秀久会長と大海部会長のタンカン園で栽培管理の仕方などを学んだ。タンカンは来年の集出荷に向けてJAでは部会員の共販、選果場委託の申し込みを受け付けていることから、量確保へ協力が呼び掛けられた。
最初の研修地となった元井農園では、園主の元井雄太郎さんが栽培状況を説明。高温によりヤガ被害(果実の吸汁被害)が10月頃からみられ、秋季の雨の多さで腐敗が出て、収量への影響が懸念されるという。一方で色づきは良く熟成が進んでいることから今月下旬にも収穫開始を予定している。
県大島支庁農政普及課は今期のかんきつの傾向を報告。気象条件(名瀬地区の比較)をみると、9月以降の気温の平均(11月上旬まで)は26・7度で、昨年(25・3度)を1度以上も上回っている。雨量は1215㍉に達しており、昨年(273㍉)の4・4倍と非常に多雨で、特に9月中旬(昨年28・5㍉→432・5㍉)、10月下旬(同1・0→246・5㍉)に目立った。
こうした気象条件が品質に与える影響では、津之輝=水腐れ等による腐敗果、浮き皮▽タンカン=早まるクラッキング(亀裂)、裂皮、低糖―があり、夏場の高温を含めて果実の積算温度が進むことで、果皮の老化が早まるという。今後の対策として同課技術主幹兼係長の松尾至身さんは「5月下旬から粗(あら)摘果を開始し、8月上旬仕上げ」を提案。暑くなる前に摘果をすることで玉伸びが早くなり収量が上がり、単収向上が期待できるとした。品質面について松尾さんは「12度に達しているなど津之輝は糖度が高い。タンカンは酸が切れすぎており、これからが心配」と指摘した。
参加者は熱心にメモしながらヤガ対策などを質問する姿が見られた。JA果樹技術指導員の大山綱治さんは「管理時期に合わせて春と夏に部会員を対象にした研修を進めてきたが、きょうの現地検討会により基本管理をベースにする大切さを認識できたのではないか」と語った。