進展なく司法解剖依頼へ

捜査の進展がないまま一夜明けた現場=21日午前11時半頃、伊仙町佐弁

 

 

のどかな農村集落に衝撃
伊仙町、殺人容疑事件

 

 

 【徳之島】20日午後6時頃、伊仙町佐弁、保育士菊池房子さん(55)が、自宅で血を流して死亡していた殺人容疑事件から1日を経た21日夕、徳之島署の捜査に大きな進展はない。死因特定のため司法解剖を依頼する。菊池さんは佐弁集落(45世帯・74人)の区長や町民生委員も担当し、「温厚で思いやりがある優しい人」との評で一致。のどかな農村集落を衝撃と悲しみに陥れている。

 現場はサトウキビ畑に囲まれた閑静な町営住宅区画内。同署発表や地元関係者らの話を総合すると、菊池さんは20日午後5時頃近くの実母宅(実家)から自宅へ。その約1時間後の6時頃、仕事から帰宅した夫が、自宅で首などから血を流して倒れていた菊池さんを発見した。通報で救急隊が駆け付けたが、死亡が確認されたという。

 関係者によると、菊池さんの体は鋭利なもので複数か所を傷つけられていた。同署は「死因」特定のため遺体を鹿児島大医学部(法医学教室)に移送。21日夕時点で「殺人容疑事件も視野に捜査」としており、捜査本部の設置はない。

 

「優しい奉仕の人」悲報に落胆

 

 一夜明けた同現場には報道各社の取材陣が駆け付けた。日頃のどかな農村集落の住民たちは肩を落とし、戸惑いを隠せない。

 菊池さんの知人女性(60代)は「日頃から物静かで人に優しく、恨みを買ったりケンカをしたりするような人でもなかった。1日も早く解決してほしい」。住民男性(81)も「信じられない事件だ。後任の集落区長が見つからない中で、住民に推されて今年2月区長に就任。町民生委員も担当するなど、頼まれたら断り切れない面倒見の良い優しくて温厚な人柄だった」と肩を落とした。