奄美市で漁業振興大会

「トビンニャ」をテーマに研修会を行った第29回奄美群島漁業振興大会

「トビンニャ」テーマに研修会
資源減少・小型化懸念
持続的利用や管理法考える

 奄美群島水産振興協議会(会長・茂野拓真瀬戸内漁業協同組合長)の「第29回漁業振興大会」が22日、奄美市名瀬のアマホームPLAZAであった。奄美群島の貴重な水産資源であるマガキガイこと「トビンニャ」をテーマに研修会を実施。参加者らは水揚げが低下傾向にあるトビンニャの生態や漁業実態を専門家から学び、資源の持続的な利用や管理方法について考えた。

 漁業振興を目的に、群島内の漁業従事者や行政など関係者約60人が出席。茂野会長は「温暖化や災害が資源に変化をもたらしている。漁業も厳しさが増す中、振興に寄与するよう努めたい」とあいさつした。

 県大島支庁林務水産課の宍道弘敏係長は、トビンニャの「生態に関する他県の知見」と題して講話。「奄美では重要な資源だが、本県での知見(研究例)はまだない」と述べ、奄美海域での研究の必要性などを強調。「減少・小型化が懸念されている。持続的利用に向けてみんなで何ができるのか考える契機にしてほしい」と訴えた。

 鹿児島大学国際島嶼教育研究センター奄美分室の河合渓さんは、2017~19年頃から低下傾向にある漁獲量を分析し研究結果を共有。低下要因について「過剰漁獲が一番大きいが、各地で異なる要因が複合的に影響している可能性もある」と推察し、「(観光による)重要の増加が資源低下、価格高騰を引き起こし、負の循環へ向かいつつある。悪循環を断ち切るためには科学的知見を基に規制も考える必要がある」と呼び掛けた。

 資源管理をテーマに登壇した鹿児島大学水産学部の鳥居享司さんは、将来的には「漁業権行使規則」の策定を念頭に、非成熟個体の禁漁、漁獲報告を自主的に始めていく資源の管理方法を提案。「データがそろうまでは待てない。予防的措置という視点も重要。早めに取り組むことでひいては漁業者の経営安定にもつながる」と訴えた。

 研修に先駆けては県水産技術開発センターの外城和幸さんが「奄振事業の調査実績と今後の調査計画」の題で基調講演。漁業貢献者や永年勤続役職員の表彰も行った。

 被表彰者は次の通り。(敬称略)

 【漁業貢献者】奥田忠廣(元奄水協会長、奄美漁業協同組合大和支所)、竹内清勝(元正組合員、与論町漁業協同組合)

 【永年勤続役職員】満林春男(20年以上、名瀬漁業協同組合・代表理事組合長)、里一明(23年、とくのしま漁業協同組合本所・筆頭職員)、岩井将吾(22年、瀬戸内漁業協同組合・事業係長)、稲村孝司(同・総務課長補佐)