知事定例会見

希少種影響避ける方法を
徳之島世界遺産エリアで日米演習
「103万円壁」見直し 県・市町村で400億円強減収

 塩田康一知事の定例記者会見が22日、県庁であった。徳之島での自衛隊と米軍の日米共同統合演習は世界自然遺産のコア(核心)エリアで山地訓練があり、希少な植物の消失が指摘されたが、知事は防衛省と環境省間で「希少な動植物に影響がないよう」に場所、方法の検討を求めた。

 希少植物の株ごとの消失は、今月18日にあった世界自然遺産地域連絡会議徳之島部会及び同保全活用検討会同島自然利用部会(県主催)で自然保護団体が明らかにした。知事は「現地の会議の場で、そういった指摘があったことは承知している」とした上で、防衛省九州防衛局に問い合わせしているものの、「はっきりと消失との関連(訓練により発生したか)確認はできていない」と説明。徳之島の世界自然遺産あるいは国立公園(希少種が存在するエリア)での訓練は、「防衛省からは訓練の前にルート決定しだい環境省と調整すると聞いていたが、その後の状況は十分に確認していない」と述べ、「世界自然遺産は非常に価値あるものとして保全しなければならない。一方で安全保障上の要請もある。場所、やり方など注意すべきと防衛省、環境省に要請したい」との考えを示した。

 屋久島の事故から約1年の米軍オスプレイは、今月に入り海上自衛隊鹿屋航空基地、奄美空港(14、21日の2回)と予防着陸が続いている。警告灯点灯を理由としているが、知事は「何が原因で点灯したのか明らかにされていない。予防着陸の増加で住民の不安が募っている」として、「同じ原因なのか、違う原因なのか。原因究明をもっとしっかり行った上で情報提供を重ねて強く申し入れたい」と述べた。危険性から住宅街の上は飛行しないよう要請しているものの、住宅地での低空飛行が目撃されている中、知事は「国内法の適用へ日米地位協定の見直しを全国知事会で提言しており、同じ考え」とした。

 いわゆる「年収103万円の壁」をめぐって国民民主党が所得税が課税されない控除額を現在の103万円から178万円に引き上げることを主張し、自民、公明の政権与党との協議が進められている。178万円に引き上げられた場合の影響(地方税収)について知事は試算結果を報告。「県で約165億円、市町村分で約256億円と400億円超の影響が生じる」と指摘し、「地方の減収分の確保(財源補填)に十分配慮しながら検討を進めてほしい」と国に対し注文。年収の壁の見直しにより「手取りを増やす」という国民民主の主張については「物価が高騰する中で賃上げは重要なこと。一つの手段として壁の見直しは必要であり、『稼ぐ力』の向上と合わせて意義がある」と述べた。