九州初の「国連ベスト・ツーリズム・ビレッジ」認定を報告した森田弘光天城町長(左)=22日、同町役場
申請書に添付したイメージ写真や動画の一部(天城町提供)
【徳之島】国連世界観光機関(UN tourism)は「ベストツーリズムビレッジ(BTV)」に、日本からは新たに天城町と山形県西川町の2地域を認定した。日本では岐阜県白川村や長野県白馬村など6地区に続くもので、九州は初。森田弘光町長は「世界自然遺産の自然と文化・産業の人間の営みとの調和が評価されたと思う」と報告。若手職員らの手作り申請書とPR動画など努力も絶賛した。
観光庁などによると、BTVは2021年からスタート。持続可能な開発目標(SDGs)に沿って、観光を通じた自然・文化遺産の保全など、持続可能な観光地地域づくりに取り組む優良な地域を認定するプロジェクト。人口1万5千人以下、農林水産業など第一次産業を行い、地域コミュニティーの価値観やライフスタイルの保持取り組みを行っていることなどが要件。
日本からはこれまで、▽21年に北海道ニセコ町、京都府美山町▽23年は北海道美瑛町、宮城県奥松島地区、白馬村、白川村―の計6地区を認定。BTVに認定されると、ロゴマークの使用が認められるほか、認定地域相互で知見や経験を共有するネットワークの構築が可能となり、国際的認知度の向上などにも活用できる。
天城町は昨年11月に九州運輸局から応募打診を受けた。町商工水産観光課を主体に各課横断的に若手職員らで同申請プロジェクトチームを編成。海・山の豊かな世界自然遺産と地域の農産物を生かした産業、地域で連携した受け入れ態勢、自然と共に暮らす集落文化や地域住民の日常生活を生かした観光振興の推進―など魅力を自然体で描きアピールした。
観光庁は3月に天城町の推薦を決定して5月、UNに書類を提出。今年は加盟国60国以上・約260地域が応募。そして今月11日、南米のコロンビア・カルタヘナで開催のBTV総会で天城町が九州初の認定地に。「白川村」など名だたる観光地域に仲間入りすることになった。
報告会見で、森田町長は「観光庁から『日本代表で推薦決定』を受けたが、英語版の作成はハードルが高いと思った。外注もせずに職員たちが力を合わせて頑張ってくれた」。内心〝申請書提出がゴール〟と思ったが、ネット動画でも公開中のBTVセレモニーでも吉報を確認。「今後インバウンドの増加も予想され、観光地としての基礎的整備も進めたい」
英語版作成に挑んだ1人・叶幸代さん(38)=町教育委員会=も「ユイの精神などの英訳にも苦心。闘牛も悪い印象を与えないよう愛情を持って牛を育てていることにもフォーカス。認定と聞いてびっくりしました。とりあえず成し遂げたと思った」と喜びを共有した。
25日には、国内BTV連絡協議会(8地区)の顔合わせ会合が白川村で予定され、森田町長らが出席する。