農業関係者が受講した奄美農業担い手セミナー(26日、龍郷町のりゅうがく館)
大島地区農業改良普及事業協議会主催の「奄美農業担い手セミナー」が26日、龍郷町のりゅうがく館であった。農業関係者ら約100人が受講。あまみアドバイザリー㈱(鹿児島市)の町田克郎代表取締役が「奄美大島・喜界島農業への期待」と題して講演し、両島の農業課題と解決策を示した。
町田氏は今年3月まで県職員として勤務。主に農政関係を中心に、最後は県大島支庁の農林水産部長として奄美の農林水産業発展のために尽力。現在はあまみアドバイザリー㈱を立ち上げ、引き続き、奄美の農林水産業発展のために助言などを実施している。
講演で町田氏は奄美大島と喜界島で生産される農業製品の種類と特徴を説明。農業には欠かせない水源の確保も十分にあるものの、再生可能な遊休農地面積が2017~22年の5年間で奄美大島では150㌶増、喜界島では5㌶減という数字を示したほか、県の観光PRビデオにも奄美の島料理や島野菜などの紹介が出ていないことにも言及。「観光客も『モノ』から『コト』に変化しており、奄美には農村風景を中心にしたハイキングやサイクリングの素材として魅力を感じられる場所も多い」として、①遊休農地は法律改正により相続者が一人でも判明した場合は農業委員会などを経て農地バンクを介した利用権設定が可能②地場産の野菜は市場価値を高める余地がある③サトウキビと地場産野菜の複合経営はあり得る④農業はUターン者の受け皿にもなりうる―などを挙げ、「遊休農地の解消を含めた農村景観の保全は新たな観光資源となり得る」と語った。
奄美市住用町から参加した男性(39)は「奄美で遊休農地が5年間で150㌶増えていることに衝撃を受けた。だが、逆に考えれば新たな商品を生み出すいい機会。各関係機関と協力して少しでも遊休農地の減少と新たな観光資源としてつなげられたら」と語った。