上京当時を振り返りながら、あいさつする大吉平造さん
常連らが大吉さんを囲んで笑顔で記念写真に納まった
【東京】天城町出身で、恵比寿駅(渋谷区)の程近くで居酒屋を経営する大吉平造さんの米寿を祝う会が17日、千代田区の主婦会館で開催され、関係者ら約60人でにぎわった。「もっと頑張ってほしい」との声に笑顔で応じた大吉さんは、自慢のシマ唄も披露した。
48年もの間「居酒屋大吉」を営む大吉さんは1936年、天城町天城に生まれた。本土復帰の翌年、54年に「手こぎ舟で36時間かけて鹿児島へ渡り、その後特急で東京へ30時間かけてきた」という。上京後、貿易会社を経て大学(法政大)に進学するも、アルバイトに明け暮れる毎日だった。
やがてトヨタ自動車勤務、整備工場立ち上げ、タクシー運転手を経て恵比寿で居酒屋を始めた。苦労の末の開店だっただけに、後輩を思う気持ちは人一倍だ。
「大吉平造兄・米寿を祝う会」は、古川美知子さんの司会で、主催者・結の島代表理事の井藤守仁さんがあいさつ。神奈川奄美会副会長の稲村義雄さんは、兄に対する褒め言葉を用い「平造むぃには皆が世話になった。出身者からお金も取らなかった時代もあったと聞いている」と祝辞を述べた。
上田晃さんの祝い詩吟、三州倶楽部元会長の横田捷宏さんの乾杯で芸能コーナーへ。大吉さんは井上弘樹さんと共にシマ唄も熱唱し、力強い歌声に大きな拍手が送られた。その間も「いつも話を聞いてもらえた」「恵比寿駅勤務時代に社員全員がお世話になった」など次々と店主の兄貴ぶりが披露された。露崎博子さん、下田洋子さんによるシマ唄、甘味けんじさんが坊主漫談で盛り上げ、浩太朗&たがみが笑いを起こした。さらにタナカアツシさん、久永さとみさんが歌で祝った。重久正光さん、新井田勝さん、小松ひろみさんら後輩の常連がスタッフとして支えた米寿の会は、六調会による興奮の六調に。関東天城町会元会長の里村哲正さんが万歳三唱で締めた。大吉さんは「耳は遠いけど鍋は問題なく振れる。まだまだ頑張るよ」と笑顔で語っていた。
10人きょうだいの8人目。明治(25年)生まれの父親から受け継いだ「ワイド」と「おぼらだれん」の心意気で、今夜も「居酒屋大吉」の看板に灯がともる。