環境省の自然共生サイト認定

認定証を授与された(左から)鎌田町長、茂野組合長(28日、瀬戸内町役場 )


小名瀬地区のマングローブ生育状況を視察する鎌田町長ら(28日、瀬戸内町小名瀬)

瀬戸内町 ネリヤカナヤの海
漁業や観光に必要な資源を維持
登録の6か所、保全活動

 環境省が認定する自然共生サイト「瀬戸内町 ネリヤカナヤの海」認定証授与式が28日、瀬戸内町役場であり、申請した瀬戸内漁業協同組合(茂野拓真組合長)と瀬戸内町(鎌田愛人町長)に認定証が授与された。

 自然共生サイトは2023年度から環境省が認定する「民間の取り組み等によって生物多様性の保全が図られている区域」。企業の森や里地里山、都市の緑地などが対象で認定区域は保護地域との重複を除き、「OECM」として国際データベースに登録される。

 今回の登録を含めて県内では4か所あり、そのうち奄美大島内で二つが龍郷町、一つが今回登録された瀬戸内町。

 認定された「瀬戸内町 ネリヤカナヤの海」は瀬戸内漁協と同町が環境省に申請。面積は49・26㌶で、藻場やマングローブの再生・保全を通して町の基幹産業である漁業や観光に必要な資源を維持し、人の営みと自然を目指すことを活動目的としている。ネリヤカナヤは奄美の方言で「海の彼方にある理想郷」の意味。町内の白浜、諸数、小名瀬、デリキョンマ、安脚場、西阿室の6か所を自然共生サイト登録の対象とし、それぞれの地区で保全活動などを実施している。

 認定証授与式では環境省奄美群島国立公園管理事務所の広野行男所長から茂野組合長に認定証が授与され、今回認定された同町の自然共生サイトについて町役場職員から詳細な説明があった。

 認定証を授与された鎌田町長は「認定を受けて町としてもうれしくもあり、誇りとするところ。瀬戸内町は日本で唯一、一つの町が海峡を有している。今後は漁業関係者のみならず、あらゆる事業を含めた中でご協力をいただき、奄美の海を持続可能な海とするべく、さまざまな取り組みを重ねていきながら豊かな海づくりに取り組んでいきたい」、茂野組合長は「これまで町と連携しながら生物多様性の海を守ることでサンゴ礁の保全や、マングローブの植栽など多くの人の力を借りて取り組んできた。認定を受けたことで関係者の皆さんに感謝したい。これからも豊かな大島海峡を皆さんと協力しながら、未来まで続くように取り組んでいきたい」と語った。

 認定式後、一行は登録エリアの一つの小名瀬に移動。町内で漁業を行うマルハニチロと連携し、地域の子どもたちとともに実施しているマングローブのメヒルギの生育状況などを視察した。