「食と農県民条例」改正骨子案の施策

 

環境への負荷低減新設
農業経営支援者確保も

国の食料・農業・農村基本法の改正を踏まえ、県は「かごしま食と農の県民条例」の今年度中改正に向けて検討を進めている。県内各地域の農業者や関係機関・団体等との意見交換は奄美でも進められた。先月15日にあった2回目の有識者意見交換会で改正骨子案が示され、主要施策では、「環境への負荷低減」「農業経営の支援者確保」を新設している。

同県民条例の改正は、3日にあった県議会代表質問で取り上げられた。答弁に立った米盛幸一・農政部長は意見交換について、「輸出促進や環境への負荷軽減、担い手労働力の確保などを盛り込んだ見直しの考え方案を示した」と報告。主な意見では▽食料安全保障の確保を盛り込んでほしい▽地域資源の活用により生産資材の供給を行っていくべき▽鳥獣被害対策の強化をすべき―などを挙げた。

地域別意見交換会の前には7月に有識者との意見交換を行っているが、先月、2回目を開催。この中では改正骨子案を示したところ、米盛部長は有識者の意見として環境への負担軽減は「有機農業推進」、労働力確保では「外国人材の確保」を「それぞれ明記してはどうか等の意見が寄せられた」と述べた。

農政課によると、改正骨子案では環境負荷低減に関する施策、農業経営支援者の確保に関する施策を新設。具体的には「家畜排せつ物等の有効利用による地力の増進、化学肥料・農薬の低減化の促進、消費者への適切な情報の提供の推進」、「新たに就業しようとする者その他多様な人材の確保」「農作業の受託、農作業を行う人材の派遣、農業経営に関わる情報の分析及び助言その他の農業経営の支援を行う事業者の事業活動の促進」を掲げている。

また、県民の農業及び農村に対する理解促進に関する施策では、「我が国の食料供給基地として食料安全保障の確立に資するよう」を盛り込んでいるほか、「家畜排せつ物の堆肥(たいひ)化や自給飼料の生産拡大など、地域資源の活用等による農業資材の確保」も加えている。

条例改正は、県議会での条例改正骨子案の説明、県民の意見公募を経て来年2月の第1回県議会定例会で条例改正案の提案・審議、3月の改正を目指している。