輸送運賃問題の3者直接交渉の前に開かれた生産農家代表らへの説明会=17日夕、JAあまみ徳之島事業本部
【徳之島】奄美群島きび輸送事業協同組合(前陽一理事長)の徳之島地区17事業者と、南西糖業㈱(神﨑俊社長)間の2024/25年期サトウキビ輸送運賃を巡る交渉は17日夕の直接交渉で妥結した。当初計画からは10日遅れるが、同社2工場はほぼ例年並みの20日から操業を始める。生産農家ら関係者は安堵(あんど)している。
同輸送組合の徳之島地区17業者は数年前から、南西糖業に対し物価高に伴った車両部品高騰など厳しい経営状況を訴え、基礎運賃などの引き上げを要望してきた。前期も交渉が難航の末、同社側が緊急避難的にトンあたりの「積み込み手数料」200円アップで譲歩し、当初計画から1日遅れの12月21日の操業開始となった。
今期は南西糖業側の同手数料100円引き下げ提示に対して輸送組合は態度を硬化させ、11日からの搬入を拒否。代理人(弁護士)を通じての交渉に発展していた。
17日の交渉はJAあまみ徳之島事業本部(徳之島町)であり、輸送組合、南西糖業、同JA(一元集荷先)の各代表者らが出席。直接交渉に先立ち、同JAサトウキビ部会(生産者組織)やハーベスター営農集団の代表などオブザーバーを交え約70人への説明会も設定された。
輸送組合と南西糖業役員らはそれぞれ、原料キビの減産や人件費・資材高騰も背景にした厳しい経営環境をアピール。JA側は「(輸送・搬入で)走りながら交渉を」などと仲介。生産者代表らは「若者たちが魅力を感じるキビ産業にするためにも、まず前に進むことを考えてほしい」「われわれ農家は年越しのための資金も必要だ」など切実な訴えもあった。
引き続き3者の代表らが非公開で直接交渉した。輸送組合側は「トンあたり基礎運賃を1374円から1475円への引き上げ」を評価。「積み込み手数料」170円(前期比100円減)提示については受容する形で譲歩し、「完全合意」に至った。
交渉決着により、輸送組合は20日から南西糖業2工場(徳和瀬、伊仙)へのキビ輸送・搬入を開始。同社は年内は25日まで搬入を受け入れ、年明けは1月9日に再開して3月末頃の操業終了を目指すという。