奄美大島選果場に設備されている品質保証が可能な光センサー
地元市場・名瀬中央青果㈱の筆頭株主の奄美市は、持ち込んだ際に支払う委託手数料を果樹のみ改定した。奄美大島選果場に設備された光センサーを利用した場合、手数料を通常より半額にするもので、品質保証が可能な光センサーの利用を促進する。
改定は来年1月1日から。市農林水産課によると、同市が取得する中央青果の株は、追加取得したことで48%から50%以上となった。それにより市の責任で委託手数料を改定することが可能になった。持ち込んだ農産物の売り上げに対する手数料で、これまでの7%を8%に引き上げた。
果樹も委託手数料は8%だが、2月から収穫期に入るタンカンは選果場の光センサーを通したものなら4%と半分の手数料で済む。同課は「市場に持ち込まれるタンカンを光センサーで品質保証されたものにしたい。それによって市場で取引され、島外などに出荷されるタンカンも品質が安定したものになり奄美産の信頼が高まる。市場に持ち込まれるもの全てが利用される方向になってほしい」と指摘する。
光センサー選果機では、果実1玉ごとに糖度やクエン酸など内部品質が瞬時に測定でき、外部の傷を測定する機能も備えていることから、光センサーを通しランク付け(秀・優・良)された商品は「品質が保証されたもの」となる。選果場を管理運営するJAあまみ大島事業本部では委託選果については、光センサー選果を証明するシールを貼付している。
奄美市の光センサー利用促進策についてJA大島事業本部果樹部会長の大海昌平さんは「市の取り組みに感謝したい。市場に持ち込まれるタンカンも品質保証されることは非常に良いこと」とする一方、「JAの部会員以外の人も選果場を利用することになり、かなりの量が持ち込まれるのではないか。量の予測ができないと選果待ちが長時間に及ぶなど混乱してしまう」と懸念。実施にあたっては▽事前の持ち込み受け付けなど、どこが対応しまとめていくか取り決め▽共販窓口のJAとの擦り合わせ▽最低持ち込み数量の制限も必要では―など提案する。
奄美市は光センサー利用促進に取り組むが、選果場利用促進助成事業については2024年度までとし、25年度以降は継続しない方針。21年度から実施している同事業は、生産者が選果場にタンカン・津之輝を持ち込む際に支払う使用料(1㌔㌘あたり26円)を助成するもので、光センサーにより「良品」以上の判定がされたものを対象としている。
同課によると、助成以降の奄美市の持ち込み量は21年153㌧(うち良品以上135㌧)、22年190㌧(同125㌧)、23年187㌧(同152㌧)。交付金額は、▽21年=43人に対し351万4千円▽22年=51人に対し325万3千円▽23年度=44人に対し421万3千円―と推移。額・人数とも大きな変動はない。
選果場へのタンカン持ち込み量を奄美大島全体でみると、助成前の20年が199㌧、助成後の21年215㌧、22年267㌧、23年247㌧。選果場開設当初目標に掲げた「462㌧」には島内市町村が統一して助成に取り組んでも及ばず、3年間で最も量が多い22年も目標の6割弱にとどまっている。同課は「助成により持ち込み量は増加傾向だが、当初目標には達していない。行政はあくまでも支援する立場であり、生産者や管理運営するJAが主体的に量を増やす取り組みを進めてほしい。『奄美たんかん』のブランド化には共販が不可欠だけに、生産者はJAの利用、JAは集荷に努めてもらいたい」と求める。大海さんは「生産者として量の確保で協力しなければならない。部会員を中心に、もっと単収をアップすれば共販量は増える」として単収向上の重要さを訴える。